“幸運を招く黄色の財布”は使わない
お金持ちは総じて家計管理がしっかりしているが、見習おうとしても初めからうまくはいかない。そんなとき、簡単にまねできる習慣がある。財布の使い方だ。
ファイナンシャル・プランナーの藤川さんのもとには、数多くのお金持ちが家計の見直し相談に訪れるが、相談料を受け取る際に相談者の財布を目にすることになる。よく観察してみると、お金持ちとそうでない人には、財布の使い方に大きな違いがあるという。
「傷んで型崩れした、いわゆる“ブタ財布”を持っている人は家計管理が苦手。反対に、お金持ちや家計管理がよくできている人は、総じて財布がきれいで、こだわりを持って使っています」(藤川さん)
風水では「黄色の財布は金運を招く」と言われるが、実際のお金持ちで黄色の財布を持っている人はほとんどいないという。
では、お金持ちの財布の使い方にはどんな特徴があるのか。
お金持ちの財布はやっぱり長財布
まず、形は長財布が多い。お札がたくさん入るし、管理がしやすいからだろう。しかも、札入れの部分が二つに分かれているタイプを使っている人が多いという。
お札とレシートを入れる場所をわけることでお札がいくらあるかすぐにわかる。また、クレジットカードは多くを保有せず、利用する店も絞り込んで、ポイントやマイルを効率的に貯めている。
女性のお金持ちは、札入れと小銭入れが一体化している財布を使う人が多いが、小銭入れの部分は大きく口が開き取り出しやすいタイプを好む人が多い。
「『財布の使い方でお金持ちになれる?』と疑問を持つ人もいるかもしれませんが、多くのお金持ちにとって、財布はお金を管理するツールです。財布の中にいくら入っているか、いくら使ったのかすぐに分かる状態に保つのがお金持ちへの第一歩。キャッシュレスの時代になりましたが、『スッキリ・キレイな財布』に保つことの重要性は、今後も変わらないでしょう」(藤川さん)
もしもあなたが傷んだ財布を使っているなら、新しい財布に買い換えることから始めてみるのもいいだろう。
買い物は家族と一緒に行かない
節約家タイプが実践していて簡単にまねできる習慣は、冷蔵庫をキレイに整理整頓すること。
「冷蔵庫の中に無駄な食材がなく、容量全体の半分程度しか入っていないことが多いですね」(藤川さん)
廃棄する食材を出さないためには、不要な食材を買わないことが重要。だから、冷蔵庫の中がすっきりしている。
逆に冷凍庫はぎっしり食材が詰め込まれていることが多い。スーパーで特売の食材をまとめ買いしたら、切り分けてパックし冷凍庫に保存。その流れができているわけだ。
「買い物に夫や子どもを連れて行かないのも大事ですね」
買い物に出かける際には、予算内に抑えるため買い物リストを作成していく。しかし、夫や子どもが一緒にいると、買い物かごに予定外の商品が入ることが多く、予算をオーバーしてしまいがちだ。それを避けるために、一人で買い物に行くことを習慣にしている人が多い。
他にも残り物料理のレパートリーが豊富だったり、底値帳を作っているなどの特徴がある(図表1)。
子どもの教育には必要以上にお金をかけない
子どもの教育にも必要以上のお金をかけないのも特徴。資産1億円を実現する人は、公立の強い地域に住んで、高校までは公立に通わせるケースが多い。
「首都圏でいえば、埼玉県のさいたま市、千葉県の船橋市、市川市、千葉市の幕張、流山市などが人気ですが、すでに価格が高くなってしまいました」(藤川さん)
よい公立校があってかつ都心までの通勤もスムーズな場所を選んでいるわけだ。米国でも公立校の強い地域に新富裕層が集まる傾向にあるという。
上手に失敗して成功をつかんでいく
「投資家タイプ」に学ぶべき習慣は、チャレンジ精神。
「彼らは、チャレンジして失敗することよりも、チャレンジしなかったことを悔しいと考えます」(藤川さん)
とはいえ、失敗が怖くないわけではない。だから、徹底的に勉強をして、できるだけ失敗を避けるようにする。
また、立ち直れないほどの大きな失敗はしない努力をしている。言い換えれば、失敗の仕方が上手だといえる。失敗したら、「なぜ自分は失敗したのか、どうすればよかったのか」と考え、失敗から学びを得て再チャレンジしていく。
住宅は投資対象として考える
お金持ちのタイプによって価値観が分かれるのが住宅だ。中でも「投資家タイプ」の住宅に対する考え方は独特。
「投資家タイプは家を投資対象として、投資したいかどうかで判断する傾向があります」
結果的に家を買わないケースも多いという。投資家タイプは家に夢や幻想を抱いていないことが多いのだ。
不動産を貸した場合に得られる家賃と物件価格で投資効率を計算する収益還元法で見ればわかりやすいという。
たとえば、物件価格1億円で買って自分が住まずに人に貸した場合、家賃が毎月40万円見込めるとしよう。
1億円を投資したら年間480万円の利益が得られることになるから、利回りは4.8%となる(図表2)。この利回りを基準に物件価格が安いか高いか判断する。
「自分の居住用物件であれば利回りは3~5%が一般的ですが、賃貸用物件であれば都心でも5~7%、地方なら10%を超えることも珍しくなく、ときには20%、30%という物件もあります」
であれば、利回りの高い賃貸用の不動産を購入して家賃収入を得たほうがいい。その家賃で自分の住む家の家賃を支払ってもお金が余る、そう考えるのが投資家タイプのお金持ちだ。
仲の良さでビジネスパートナーを選ばない
「高収入タイプ」に学ぶべきは、仕事のパートナー選び。起業で成功している人は、自分と違う能力を持つ人と組んで仕事をするケースが多いという。
「女性が起業する場合、仲の良い相手と一緒に始めるケースが多いのですが、成功するために同じタイプの人は必要ありません」(藤川さん)
自分とは違うタイプの人と協力し合って、足りない部分を補い合う関係が重要ということだ。
望まない異動をよしとする
また、いったんは会社に勤めてから、独立して起業するケースが多いが、お金持ちは会社員時代に望まない部署に異動になっても、逆にチャンスと考える。複数の部署を経験したほうが、会社の中でさまざまなスキルを身に付けられる。異動したくないと思う部署は、自分の苦手分野の可能性が高い。起業して経営者となれば、会社内のすべては自分で判断しなければならない。そのとき、経験が役立つ。
仕事を任せるのがうまい
高収入タイプは、時間のレバレッジを意識しているのも特徴。
「1人でできる仕事の量には限界があります。高収入タイプは、他の人の能力や時間を使って乗り越えていきます」
事務処理能力の高い人ほど、他人に任せず自分で仕事をしてしまう。それでは自分の能力の限界が収入の限界になってしまう。ある段階まで自分でつくりあげたら、それ以降は他の人に任せる。自分はその人たちが能力を発揮できる場をつくる側に回るわけだ。
お金持ちになるには、「他の人にどう働いてもらうか」を常に意識しておいたほうがよさそうだ。
タイプ別に考え方や習慣を見てきたが、実践すればすぐに効果が出るものではない。大事なのは、小さなことを根気よく積み重ねること。途中で挫折しないためには、強い願望を持つことが重要。お金持ちになりたい、夢を実現したい、何でも構わないが、地道に努力を続けることができる目標を持つことが重要だ。