経営者たちは人員とオフィスの縮小に着手
昨今「アフターコロナ」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、私はコロナが完全に終息するというよりも、今後もつねに感染者が出続ける「ウィズコロナ(コロナと共に)」の時代になるような気がします。
そしてそんな時代環境を見据え、私の周りの富裕層の中には、事業構造やビジネスモデルの転換を急いでいる人が多く見られます。
ひとつは人員とオフィスの縮小です。
現場仕事がないホワイトカラー業務では、「テレワーク(tele=遠く離れた)やリモートワークでも結構いけるじゃん」と感じた人も少なくないと思います。
テレワークで大丈夫なら従業員は必ずしも正社員である必要はなく、個人に業務委託として発注することで、様々なコスト(社会保険料や通勤費だけでなく、マネジメントにかかるコストも)削減することが可能です。
そして出勤する人が減れば、もはや都心に大きなオフィスはいらないですから、面積の縮小や移転に動いています。完全にオフィスを解約したという人もいます。
居酒屋は都心から住宅街へ
私の知人で居酒屋を複数展開する経営者は、都心にある店舗のいくつかを閉鎖し、住宅街近く、あるいは住宅街を控える駅前への出店を増やす計画です。
都心よりも賃料が安いからという理由よりも、「地元需要が底堅い」からだそうです。就業後のサラリーマン需要に依存するよりも、日々の食事の一環として利用してもらうほうが、売上のブレが少なく、さらに外出自粛であっても近所の人はそれなりに来てくれると言います。
土日祝祭日は閑散とする都心立地とは対照的に、むしろ日中から飲食需要があるのが住宅立地であり、リスク分散にもなるとのこと。
また、従業員も近隣に住む主婦や大学生が中心なので、交通費負担も少なく、長期で勤めてくれる傾向があるのでありがたいということでした。
一点集中・テイクアウト&通販型へ
別の飲食店を経営する人は、今回のコロナ禍を機に、デザート1品に絞り込み、店での飲食サービス自体をやめ、そのテイクアウトと通販だけに舵を切った人もいます。
これなら家賃も人件費も食器類や厨房設備も最小限になり、製造の効率化も食材管理もマーケティングもこの1品に集中できます。
利益率も高まり、より高品質な材料を使えるようになり、それがさらに差別化になるという狙いですが、このコロナ禍で通販の売上は大きく伸びたそうです。
それらのマーケティングとして、SNSを全方位で活用する富裕層が増えたことも特徴です。
もともとSNSで情報発信が得意な人が多いですが、公式のツイッターやLINEなどに加え、経営者自らフェイスブック、インスタグラム、noteなど、あらゆるSNSメディアを開設して連動させ、流入動線を増やそうとしています。コロナが騒がれてからYouTubeチャンネルを開設した人も少なくありません。
こうして広告宣伝費を極力抑えつつ、インターネット上でのブランディング強化に取り組んでいます。
実際、来店が減っている飲食店でも顧客が途絶えない店は、普段から顧客とのつながりを重視しているところが多いらしく、SNSでキャンペーンやテイクアウト商品をつぶやくだけで来店を促せるそうです。
1億総自営業の時代
そしてこれは一般個人にとってもチャンスです。
前述の通り、企業が正社員の削減に動けば失業者が増えるのでマイナスではないか、という意見もあると思います。
しかし副業が当たり前の流れになっている昨今、すべての労働者が自営業を兼ねる時代になる(それができる人が生き残れる)のではないかとすら感じます。
テレワーク・リモートワークの普及で、通勤、移動時間の削減や業務効率の向上ができれば、この時間を他で活かさない手はありません。
インターネットサービスが発展した今、コストをかけずに誰でもクリエイターやインフルエンサーとして活躍できる可能性があります。
特にネットと親和性の高いクリエイティブの世界(たとえばイラストやデザイン、文章、写真、作詞作曲などデジタルで納品できる仕事、あるいは芸術・工芸・アクセサリーなどのハンドメイド商品)は、個人の創造力と想像力に依存し、会社で要求されるビジネススキルやマネジメントスキルなどは不要です。
本人の容姿や魅力やカリスマ性やリーダーシップも不要です。たとえば漫画家や作家がしゃべっているのを見たことがある人は少ないでしょうし、顔さえ知らないという人のほうが多いと思います。
私の知人にも漫画家や作家がいるのですが、超がつくほどオタクでネクラ。それでも成立するのが現代なのです。
これらの分野に携わる人の多くは給与所得者ではないので、なかなか統計には出てこないものの、人知れず年収数千万円~1億円以上を稼ぐ人はザラにいます。
私も著者の一人としてビジネス書作家を多数知っていますが、そのうちの一人は「家からはあまり出たくない」「あまり人と会いたくない」と言っているくらいの引きこもり。
そういう彼は本の執筆印税やコラムの原稿料、YouTubeの動画配信から得られるアフィリエイト報酬で年収1億円以上あります。そしてかかる原価は自分の時間だけ。
そういえば以前、あるバンドの女性ボーカリストの確定申告書を見たことがあります。平成初期に活躍したバンドで、当時すでに活動を休止して彼女は専業主婦でしたが、事業収入は1億円以上もありました。
収入の内訳は、ほぼJASRACやレコード会社からの印税。彼女は作詞とボーカル担当だったので、主に作詞印税と歌唱印税だと思われますが、自分の曲がカラオケで歌われたり、ショップのBGMで流れたりするたびにお金が入ってくる、まさに現金自動販売機です。
曲が一度ヒットすればその資産だけで何十年も食べていけるという音楽印税の破壊力に、私も驚いたものです。
お金をかけない起業・副業が当たり前に
むろん前述の作家や彼女の例は特殊かもしれませんが、会社員でもフリーターでも専業主婦でも、あるいは性格が内向的であろうがオタクであろうが、今や様々な方法で稼ぐことができるのです。
繰り返しになりますが、インターネットを活用すれば初期投資もランニングコストもほとんどかけずに起業できます。
ブログやSNSならタダで始められるし、カード決済機能付きのホームページを作っても数万円程度。商品が音声や動画、PDFなどのデジタル商材であれば、在庫を抱えることもない。昨今は法人でなければ取引しないという企業は減っているので、法人格も不要。
もはや「お金をかけないと起業や副業はできない」などという考え方は通用しない時代なのです。
これは大きなチャンスだと思いませんか?