新型コロナウイルスの感染が広がるなか、株式市場への影響も大きく出ている。大幅な下げ相場の局面でも心が安定している人の秘密とは――。
オレンジ色の背景にダウンバーチャートを行く
※写真はイメージです(写真=iStock.com/vokri)

相場に左右されない強いメンタル

長期資産形成を目的に据えているなら、「長期・積立・分散」の投資行動3原則を実践することが不可欠です。

「長期」とは、忍耐強く時間を養分にしてお金を育てていくことで、子育てのイメージを投影してみてください。産まれたての小さな赤ちゃんはやがて自立する大人になるまで、つまりは成人と社会に認められるのに20年という時間がかかります。長期投資に必要な時間も同様で、毎日見ていてもわからない。でもじっくりと時間をかけて育てていくと、気づけばお金はちゃんと大きくなっている。そうした時間軸でゆったりのんびり、でも辛抱強く継続することが肝要なのです。

そして「積立」。毎月同じリズムで同じ金額を経済活動の中に投入していく、コツコツ一歩ずつの作業であれば、まとまったお金がなくたって誰でも長期投資家への一歩を踏み出すことができます。毎月自分が拠出出来る範囲で少しずつ投資を積み上げていけば、日々の相場の値動きにも寛容になれるでしょう。積立とは、相場が上がっている時はもちろん、下がった時でも安く仕込めたとニコニコした気分でいられる、心の安寧を保つ術なのです。長期で投資を続けるために安らかな心持ちでいられることは、積立投資家なればこその強みだと理解しましょう。

2種類の投資信託の大きな違い

「長期」も「積立」も皆さん各人が自ら行動することによって実践出来ますが、適切な「分散」を実現するのは投資信託の役目です。即ち将来に向けた資産形成を、目的に沿った分散ポートフォリオで運用してくれる投資信託選びが、「分散」実践の肝となります。筆者が長期資産形成に最適な「分散」と提唱しているのが国際分散型ポートフォリオですが、これは世界経済の長期にわたる安定した成長軌道に運用資金をのせて育てていくということです。

ならばそれを適切に叶えてくれる資産配分が運用方針にしっかり据えられている投資信託を選択する必要があります。とは言え、国際分散投資を標榜するファンドにも様々な運用手法があります。まず世界の市場全体が網羅されるように設計されているのが、インデックスを活用したパッシブ型。それに対して、市場平均を上回るリターンを追求してとりわけ魅力ある投資対象を厳選する、相場環境に柔軟な対処を試みて売買の機動力で成果を目指すなど、各運用者の個性を競い合うのがアクティブ型ファンドです。

パッシブ型はインデックスという画一的運用を基本とするので、管理コストは総じて低水準です。他方アクティブ型は企業や市場環境のリサーチなども含め、運用者の専門性に裏打ちされた仕事への対価がかかるため、運用管理費用は相対的に高めになると言えます。しかし当然そうした費用も含めた上で、より高いリターンを目指しているので、必ずしもコストの水準が投資信託の良否を決める要素ではないと言えましょう。パッシブ型とアクティブ型はあくまでも運用スタイルの違いであって、選択はお好み次第ではないでしょうか。

避けたほうがいい投資信託とは

また、国際分散投資を長期資産形成の手段として定めるならば、流行りのテーマ型、たとえば特定の業種や地域、或いはブームになっているキーワードを冠した集中投資対象のものは選択外ではないでしょうか。世間ではしばしば売れ筋ファンドとして人気を博しますが、本格的な長期資産形成には不向きと考えます。

同様にレバレッジ型など自ら理解困難な複雑怪奇の仕組みが施されているものも避けたほうが無難です。自ら納得出来る「分散」行動をしっかり長期に実践してくれると信頼出来る商品選びは、長期的運用成果の大前提だと心掛けてください!