「地球環境に配慮しながら豊かな生活を送る」のは、不可能なことではありません。これからの時代のサステナビリティを考える新連載第1回は、昨年の秋から、今なお燃え続けているオーストラリアの森林火災について。日本人になじみの深い国で、この瞬間も危機に瀕している命や環境に対し「私たちは今、最大限に何ができるか」を考えます。
森林火災で重いやけどを負い、手当てを受けるコアラ ©RSPCA QLD/Peter Wilson

もはや人災になりつつある森林火災

燃え盛る炎に、傷つき、命を落とすたくさんの動物たち。いまだ鎮火されないオーストラリアの森林火災は、私たちにあまりにも悲惨な現実を突きつけた。

一部メディアによると、この火災はこれまで約1700万ヘクタール=日本の国土約半分を焼き尽くしたことになるが、これは昨年のカリフォルニア火災の256倍、アマゾン火災の1.5倍の消失面積。住宅は2900軒以上が被災し、これまでに33名が命を落とした。また、死傷した動物の数は推定12億匹を超えるともいわれている。この被害状況を見ただけでも、世界最大級の災害であり、環境汚染であることは間違いないだろう。

今この瞬間もさらに被害を広げている森林火災。©Adam Dederer

森林火災の原因はいくつか考えられるが、“人間の力ではどうしようもない大規模な自然災害”という認識であった以前と今とでは、少し様子が違っているようだ。それは気候変動によるものが大きいということ。例年に比べ気温が高く、降水量が少ないために空気の乾燥がより進んでいることや、多発している落雷が火災を引き起こしているのだ。そう、これらはすべて地球温暖化の影響。さらに、過去にはタバコの不始末や放火なども挙げられているというから、森林火災はもはや、ただの自然災害ではない。われわれ人間が引き起こした災害ともいえるのだ。

信頼できる寄付先を選ぶには?

そんな中、今の自分たちには何ができるのか? 負傷したコアラが必死に水を飲む痛々しい姿や(本来コアラは水を飲む動物ではない)、瀕死のカンガルーたちがケガの手当てを受けている様子に、居ても立っても居られなくなった人はきっと多いだろう。

私たちが今すぐできることとして、まず考えられるのは寄付だ。被災者への寄付などはオーストラリア赤十字のオフィシャルサイトへ。ここでは1ドルからでも寄付が可能。現地の消防士への支援をしたい場合はニューサウスウェールズ州地方消防隊なども推奨する。

また、海外のサイトはちょっとハードルが高い……という人には、Yahoo! JAPANが運営するYahoo!ネット募金に開設されているWWFジャパンの募金窓口がオススメ。クレジットカードのほか、たまったTポイントをそのまま寄付することもできる。ほかにも有名菓子メーカー・ロッテが26年間にわたり企業で参加しているオーストラリアコアラ基金、プロサッカー選手の本田圭佑さんがCEOを務めるNowDoでは、あまりの反響の大きさに募集締め切りを延長した。

子どもに命の大切さ、動物の愛おしさを伝えるとともに支援したいという人は、都内の動物園で受け付けている募金箱へ直接寄付するという方法もある(詳細はトップページのお知らせ→2020.01.12をチェック)。

無理はいらない。少しでも行動することが重要!

ひと皿につき3オーストラリアドルが寄付される。(右)パブロバ‐苺、ローズウォータークリーム(左)アボカドトースト‐フレッシュコリアンダーとライム添え/bills

一方で、食べて支援をしようという試みもある。シドニー発のオールデイダイニングbillsでは、世界19店舗で救援を実施。国内の全8店舗では、オーストラリアにゆかりのあるふたつのメニューをオーダーすると、ひと皿につき3オーストラリアドルを赤十字社へ寄付。美味しい食事を摂ることで、それが支援になる仕組みだ。

オーストラリアに赴くことだって長い目で見てひとつの支援になる。このようなニュースが出るとやはり、正しい情報を知る前に渡航を諦めてしまう人も多いが、オーストラリア政府観光局では、日々安全情報を細やかに更新している。このようなタイミングでの旅行も、きちんと事前に調べれば危険なものではないのだ。

そしてどんな支援でもまずは、現地の人や環境の現状を知ることが第一。そのうえで私たちひとり一人が無理をせず、小さな力をたくさん終結させることで、できることは必ずある。何もできない、心苦しいという気持ちを抱えたままでいるよりも、少しでも行動に移せられれば。世界の中でも災害が比較的多い日本に住む私たちなら、もしかしてより力になれることがあるかもしれない。