今、美や健康に関心のある女性から注目を集めているのがMCTオイル。その特長や日常生活で取り入れるポイントを、アスリートのフードサポートなどで活躍する管理栄養士の新生暁子さんに聞いた。

良質なオイルは美と健康の維持に貢献

アクティブに、美しく働く助けとしてMCTオイルを取り入れて

新生暁子さん
しんじょうときこ●公認スポーツ栄養士、博士(スポーツ健康科学)。2008年、高橋尚子率いる「チームQ」に参加。現在は、サッカーやラグビーなどのアスリートへの栄養・食事サポートのかたわら、子どもや保護者など幅広い年代に向けたスポーツ栄養の啓発に力を入れている。

──今、良質なオイルを食事に取り入れようと考える女性が増えています。そもそも脂質はどのような作用をもたらしてくれるのでしょうか。

【新生】脂質は体の中にある細胞を構成し、ホルモンの原材料になるなど、女性の美と健康を維持するうえで重要な働きを担っています。極端に油などをカットした食事を続けていると、結果的にしわの一因になったりもします。水や油で満ち足りてハリのある細胞が、油分不足でシワシワになってしまう感じです。若々しく活動的な体をキープするうえで、適度に油分を摂ることは欠かせないんです。適切な量を、できるだけ良質な油脂で摂取できるとベストです。

──さまざまなオイルをどう使い分けるといいのでしょう。

【新生】普段の食事をイメージしながら選んでいただくとわかりやすいと思います。炒め油なのか、生で食べるオイルなのかで違いがありますので、適材適所で活用して。例えば菜種油や大豆油は加熱用のオイルとして、アマニ油やエゴマ油なんかは生食に向いたオイルですね。最近注目を集めているMCT(中鎖脂肪酸)オイルもそのままで口に入れられる良質なオイルの一種です。私も普段の健康管理やアスリートサポートの一環として取り入れています。これら生で食べる油は火を通すと酸化しやすいので、良質さを損なわずに使っていただきたいですね。酸化を防ぐ意味では、小さめのボトルをそのつど購入するのがオススメ。効率よく油分を摂取するのが、健康を保つ秘訣ひけつです。

エネルギーになるのが早く、体が動き始める

──MCTオイルにはどんな働きがあるのでしょうか。

【新生】MCTは、ココナッツやパームフルーツなどに含まれています。MCTオイルは100%MCTで構成された油で消化・吸収してからエネルギーに分解する時間が非常に早いんです。一般的な油はいったん体の中に油を吸収・貯蔵して、必要に応じてエネルギーに分解していくのですが、MCTオイルは貯蔵の経路を使わずに、吸収後、速やかにエネルギーとして使えます。摂取してからおよそ3時間後には分解のピークを迎えるイメージです。この特長が、食事を素早くエネルギーにしてパフォーマンスを上げたいアスリートにマッチしています。

──アスリートはどのように活用しているのですか。

【新生】私がサポートしているJリーガーには、朝練の始まる3時間前、朝ご飯のタイミングで摂っておくように伝えています。MCTオイルは無味無臭なのでご飯やおみそ汁などの食事に混ぜても味を邪魔しません。小分けのゼリータイプもあって、一口でチュッと食べられちゃいます。無理せず、手軽に摂れる点でもMCTオイルは優れています。最近では、「体脂肪率を下げたい」と言っていた選手が、MCTオイルを取り入れて半年程度で数値が改善。見た目にも上半身が絞られてスタイルが変わるなどの結果を出していました。運動や食事などの取り組みと合わせて、うまく効果を発揮できたんじゃないかなと思っています。

朝のコーヒーにプラス。イキイキと仕事を始める

──新生さんご自身がMCTオイルを食事に取り入れている理由をお聞かせください。

【新生】30代、40代と年齢を重ねるごとに、無理が利かなくなっているなと実感しています。でも、この先も大好きな仕事に全力で向き合っていきたいし、いろいろな出会いの中で学び、体験していきたい──。そのために健康管理は重要課題ですが、日々の忙しさの中で後回しになってしまっている現実もあります。全力で働いている女性ってやっぱり同じ悩みを抱えているんじゃないかな。そんなときにMCTオイルは、手軽にエネルギーチャージできる強い味方なんです。

──働く女性はどんなふうに取り入れるのがオススメでしょうか。

【新生】私の場合は、朝ブラックコーヒーを飲む際にティースプーン1杯程度のMCTオイルを混ぜています。油っぽさとかは全然感じないですよ。一時流行したバターコーヒーよりあっさりしているし、かき混ぜる手間もありません。油浮きが気になるならパウダータイプを使ってもいいですしね。これから寒くなる季節だからココアに入れるのもオススメです。オフィスで働く方ならオイルの小瓶を常備しておいて、ランチやお茶にちょい足しすると簡単です。集中したい会議やプレゼンなどがあるなら、その3時間前に摂っておくと元気が出ますよ。また、ヨガやジョギングが趣味の方であれば、トレーニング前に摂っておくと効率的なエネルギーに。もちろん摂りすぎはダメ。油は1g当たり9kcalになりますし、一度に大量に摂るとお腹がゆるくなることも。日頃の食事にちょっと足すだけで十分です。大切なのはストレスなく気軽に取り入れること。ぜひ、スプーンひとさじのMCTオイルを新しい健康習慣にしてみてください。

Edit=Embody Photograph=金城匡宗(インテンスインク/インタビューカット)