「株式投資で損してしまうときには、必ずと言ってよいほどに理由があります」と株のお姉さんとして親しまれる雨宮京子さん。その多くは手を出してはいけないような銘柄に手を出すことと言います。玄人ならまだしも、株の初心者が手を出すと大けがにつながりかねません。そんな“絶対に手を出してはいけない銘柄”の特徴について解説してもらいました。
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1.「疑義」記載の銘柄

株式投資では、問答無用で一瞬にして投資したお金を失ってしまう──そんな可能性はゼロではありません。それは、買った株の会社が倒産してしまう場合です。

「えっ、そんな」と思った時は後の祭り。そうならないためにも、倒産しそうなほど経営が悪化した銘柄は避けなければなりません。

「この会社は大企業だから大丈夫!」と思って、有名で大きな会社にリスクを考えないで投資する人もいるでしょう。確かに、世界的にも有名で“潰れそうな”感じがしない会社はあります。しかし、世の中、何があるかわかりません。かつては、銀行は絶対に大丈夫!──と言われた時代もありましたが、いくつかの銀行が破たんしてしまったのは周知の事実です。

上場企業の場合、こうしたリスクから投資家を守るため、業績はもちろん、経営に関する重要な情報について、開示することが求められます。これらの情報をきちんと調べることによって、倒産企業を避けて投資することが可能になります。

とくに気をつけなければならないのは、決算報告書の中に「継続企業の前提に重要な疑義」と記された企業です。

会社が将来にわたって事業を継続するとの前提、ゴーイングコンサーン(going concern)ともいいますが、これに重要な疑義があるというのは、継続できない恐れがあるということを意味します。倒産するかもしれない重大な問題を抱えていますよという注意信号が出ているとみていいでしょう。

安い株に飛びつくなかれ

むろん、これが書かれているとしても、すぐに倒産する訳ではありません。ただ、以下のような問題を抱えているので、注意する必要がある訳です。

①売上高、利益の著しい減少
②巨額または継続的な赤字計上
③債務超過

このうち、債務超過とは、債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態。つまり、資産をすべて売却しても、負債を返済しきれない状態で、かりに、その状態で企業が解散した場合、債務だけが残るので、株式の価値がゼロになります。

債務超過は、1年以内に解消されないと、倒産しないまでも上場廃止になってしまうので、避けた方が無難となります。

この注記が付いた場合は、基本的に売られますので、株価が低くなりがち。「この株安くていい」──といった理由だけで、買ってはダメなのです。もちろん、疑義の注記が消えれば、株価が上昇することが想定されます。

2.業績の見通しが悪い銘柄

株価を決定する要因として、最も重要なのは業績でしょう。どの企業も、決算の締めの時期は異なりながらも、年に1度は決算をします(日本では3月に決算を行う3月期企業が突出して多いです)が、業績が悪いと株価が下落します。

株式の価値というのは、企業がどれだけ利益を出したか、そしてどれだけ株主にそれを分配できるか(配当金という形で分配します)で決まりますので、業績の悪い銘柄は人気がなくなるのは当然でしょう。そのため、市場では業績の良し悪しが株価にどう影響を及ぼすのか、常に投資家が目を光らせているのです。

企業の業績は、年4回行われる決算発表で知ることができます。企業は、1年間の業績を集計する本決算のほか、3カ月ごとに四半期決算として公表します。公表するのは締めてから1カ月半以内。たとえば、3月期企業であれば、本決算を4月下旬から5月前半までに公表するのが決まりとなっています。

この本決算のほか、第1四半期、第2四半期、第3四半期と発表しますが、注目度が高いのは本決算と中間決算で、これらをチェックすることが重要です。

決算数字のどこを見るべきか

ここで注意したいのは、数ある決算の数字についての見るべきポイントです。

①終わった期は、予想より良いのか悪いのか?
②増益が期待できるのか、否か?
③市場予想より高い増益率が見込めるかどうか?

などが大切です。

しかし、業績見通しが悪い銘柄でも、発表した後に時間が経過したら、その限りではありません。それは、次の決算について注目し始めるからです。足元の業績が悪くても1年先に業績が回復するのであれば、市場はそちらの方を評価するからです。

これを判断するタイミングは難しいですが、見送るのは悪い見通しを発表してから半年程度。中間期を過ぎると、株価は次の年度を読み始めるので、中間期を過ぎたころにもう一度、買っても良くなったのか、それとも次の年度も業績が悪そうなので引き続き見送るのか、判断するようにしましょう。

3.急騰した後の銘柄

最後に、株価の動きによって、手を出してはいけないのか、それとも買ってもいいのか、判断が分かれてくるケースについて解説します。

株価はどんなに業績が良くても、一方通行で上がり続けるものではありません。何年も上昇し続ける銘柄でも「山あり谷あり」──上げては休みを繰り返して、最終的に大きく上昇していくものなのです。

もちろん、そうした銘柄をずっと持ち続けていれば、最後は利益を得ることができるでしょう。しかし、上がったところを買って、その後に一度下がってしまった場合、儲かるにせよ効率は悪くなります。業績が良さそうな銘柄は、いったん下がったところを買えば、より利益が大きくなると言えるでしょう。株式というのは「安いところで買って高いところで売る」という基本原則を決して忘れないで下さい。

初心者にもできるチャートの読み方

特に、突発的に上昇した銘柄は、その内容が素晴らしいと思っても飛び付くのはNG。急騰した後にいったん下がると、将来的に有望な銘柄であっても、その後、何カ月も株価が休養し、上がらないケースが大半だからです。

それはチャートで見極めることが可能です。チャートなんかわからない──そう思う人が多いかもしれませんが、見極め方はカンタン。ローソク足(その日の動きを示すローソクのような足)で、上に長いヒゲ(ローソク足から出ている直線)を引いた銘柄は、買うのを避けて下さい。短期間で急騰し、その後、人気が急速になくなった動きを示していますが、こうした銘柄を避けるだけでも、あなたの投資の成績はアップすると思いますよ。

以上、大きく3つのポイントを挙げましたが、買ってはいけない銘柄に手を出さすに、着実に利益を上げられるようにしましょう。