世の中には「マナー」と聞いただけで嫌悪感を示す人や、苦手意識を持つ人がいます。しかしながら、本来マナーとは、相手をリスペクトする気持ちを形にし、お互いが心地よく過ごすための一種の表現方法。ルールや法律とは違います。ゆえに、知らないよりは知っておくと得する大人のたしなみのようなものかもしれません。今月のテーマは、習慣として見過ごしていると意外に周りに迷惑をかけているかもしれないオフィスやビジネスの場での「香り」のマナーについてです。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Maryviolet)

知らぬ間に「香害」「スメハラ」になってない?

日常生活に溢れている様々な香りは、生活に豊かさをもたらし、気分を変え、ときにはその場の空気を左右することさえあります。

しかしながら、使い方を間違えると明らかなマナー違反になることも。

最近では「香害」「スメハラ」なんていう言葉もあるほどです。

代表的なものはやはり香水。一般的に香水をつけるときには、手首の内側にシュッとひと吹きして、それをこすり合わせる……というイメージがありますが、実はそれ、ほんのり香らせたい場合はちょっと間違い。香りは太い血管が通っている場所につけることで、より増長するという特徴があるうえに、手首はよく動かすパーツでもあることから、強い香りが遠くまで広がってしまう可能性が。

もし、オフィスや公の場で品よくさりげなく香るのをめざすなら、下半身メインにつけるのがオススメ。たとえば、ウエストやひざの裏側に少量つけることで、まめに付け直さなくてもいい香りが長時間ふんわりと広がる効果があるそう。

濃い/薄い、甘い/辛いなどの種類はもちろんですが、香りはつける場所で印象が変わるということを覚えておきましょう。

麻痺しがちな柔軟材の香りに注意!

また、意外に「迷惑」だと思っている人が多いのが柔軟材。

最近は香りメインのものもあるぐらい人気のアイテムですが、日常使いするものなので、本人はその香りに麻痺してしまいがち。周りが嫌がっていたとしても気づきにくい、という特性があります。そのうえ自宅でも常に香っている状態なので、その存在が「あたりまえ」になっていることがほとんどです。

けれど、どんなにいい香りもすべての人が心地よいとは限りません。仮に、あなたがあまり好きではない香りが隣のデスクから一日中漂ってきたらどうでしょう? 実際、それによって仕事に集中できないどころか、体調を崩したという報告例もあるのが現状。とくに気軽に換気ができない昨今のオフィスや、狭いエレベーターの中などは迷惑と感じやすい場所でもあります。仕事終わりの会食や、人との距離が近い映画館などでも配慮したいものです。

女性が好きな「アロマオイル」にも落とし穴が!

比較的柔らかに香るアロマオイルなども、実はメンタルや体調を作用するような効果があったり、当然、人によって好き嫌いがあります。とくにオーガニックのものなどは、自然界にあるものだからと香水や柔軟材と分けて考える人もいますが、やはり、本意でない香りは迷惑と感じられる場合も。アロマオイルもほかのものと同じように気配りが必要です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Anatoliy Sizov)

香水やアロマオイルについては万が一、つけすぎてしまったと感じるときは洗い流すのが一番ですが、外出先ではなかなか難しいのが現実。そんなときはレスキュー法として、除菌効果のあるウエットティッシュで軽く抑えるだけでも◎。過剰な芳香を抑えてくれます。

先にもお伝えしたとおり、香りは使い方によって、気分を上げるものにも、下げるものにもなり得ます。どんなに仲が良かったとしても指摘しないのが大人でもありますから、T.P.Oを意識した使い方をマスターしましょう。目に見えないところにさりげなく気を遣えるのもまた、大人が身につけるべきマナーのひとつです。