日本から直行約5時間で、英語漬けの生活を送れると人気のフィリピン・セブ島留学に、新たな動きが出てきた。長時間レッスンを売りにしてきた「TARGET Global English Academy」が、レッスンを大幅に減らした「FourWord English Studio」を新設。なぜ授業数を減らしたのか、それでも英語力は伸びるのか、英語初中級レベルの本誌ライターが、2週間にわたり両校を体験取材した。

1日最大9コマ! 授業式のTARGET

まず訪れたのは市街地にある「TARGET Global English Academy」。大きなショッピングモールのある大通りから、少しローカル感のある路地に入ったところにある。

TARGETといえば「日本人のレベルに合った授業が受けられる」「日本人に足りないボキャブラリーを強化できる」「コストパフォーマンスが高い」……、留学エージェントの間でも評判の高い語学学校。「初心者が英語力を伸ばす」ことを狙いに、6年前に設立し、日本人をメインに、最近ではベトナム人や台湾人、中国人など各国の生徒も増やしてきた。初日はレベルチェックテストのほか、日本人スタッフによるオリエンテーションに学習ガイダンス、翌日から本格的な授業が始まる。

受講するコースは、生徒の80%以上が選ぶ、5コママンツーマン+2コマグループクラスの「TARGET5」。2コマのナイトクラスも用意されている、しっかり勉強したい人向けの学校だ。

マンツーマンレッスンを受けていた公務員の女性

フィリピン人の先生とのマンツーマンレッスンは、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング、ボキャブラリーなどから、ある程度、希望に合わせて組んでいけるため、リスニングとスピーキングを中心に選択。リスニングはTOEICの問題をひたすら解いては、説明を受ける。スピーキングでは出されたテーマについて、自分なりの意見を述べてから先生と議論する。

グループレッスン

7、8人で行うグループレッスンは、毎回ワンテーマについてディスカッション。台湾人やベトナム人など他国の生徒と触れ合う貴重な機会となる。

月曜日から金曜日まで、同じ時間に同じ先生から教わるスタイルだが、先生と相性が合わないと感じたら、先生を変えることも可能。

宿泊した一人部屋

午前中は10分の休憩をはさみ、50分レッスンが4コマ。昼休みは1時間。午後はまた3コマのレッスンが待っている。追われるように続くレッスンは、勉強に慣れていない社会人にとってはかなりハード。希望者はナイトクラスにも参加できるが、宿題もあるので、なかなかそこまでの余裕は持てない。1日が終わるとへとへとになるが、文字通り英語漬けの生活を送ることはできる。

1週間で英語を英語のまま聞き取れるように

たった1週間の滞在だったが、英語で一日じゅうインタラクティブなやりとりを行っていると、英語が耳になじみ、次第に英語を英語のまま聞き取れるようになってきた。初日に比べると、リスニングもスピーキングもずいぶんスムーズになったと感じる。石原さんいわく「1カ月勉強にフォーカスしてもらえれば、TOEICのスコアが300~400点の人なら150点は伸びる」とのこと。

ともかく、ここに来れば、圧倒的なコミュニケーションの量が得られるのは間違いない。しかし、ある程度の文法や単語といった知識がなければ、せっかくの実践の場も十分に生かせないものになってしまうだろうと感じた。やはり自習は重要だ。

集中するのは3コマだけ! ゆるめのFourWordへ

1週間のTARGET滞在を経て、次に向かったのはタクシーで5分の場所の発展地区にある「FourWord English Studio」。次の1週間は、ここで授業を受ける。

FourWordは「英語を効率的に伸ばすには、長時間ダラダラやるよりも、短時間集中したほうがいい」という考えのもと、プログラムが組み立てられている学校。1日のレッスンは、マンツーマンレッスン3コマ、自習スタイルのグループレッスン3コマ、とTARGETに比べると、かなりゆるい。授業は50分だが、25分たつと5分の休憩をはさむので、これも楽に感じる。

 

同じマンツーマンレッスンでもTARGETは部屋ごとに区切られていたが、FourWordはワンフロアに机といすが設けられた完全オープンスタイル。時間に応じて、それぞれが指定されたエリアの席につく。グループレッスンは個室で行われる。

「FourWordは、いろいろなものをそぎ落とした」と石原さんが語るように、カリキュラムは1本だけ。生徒も日本人だけで、先生は原則変えられない。

FourWordのカリキュラムは、TARGETの6年間の経験と第二言語習得論という科学的な知見をベースにしたもの。マンツーマンレッスンでは、リーディング&リスニングのインプットを重視し、日本人が聞き取りにくい音声変化を意識しながら、シャドーイングやディクテーションで徹底的にアウトプットしていく。グループレッスンでは毎日のテストでボキャブラリー力を、そして多読によってリーディング力を鍛え上げていく。

個人に合わせているから、短時間でも効率よく伸びる

2019年4月にスタートしたばかりのFourWordだが、3カ月の滞在でTOEICのスコアが500点から750点にアップしたという実績が早くも出ているとのこと。

「FourWordの狙いは、グローバルな英語を身につけること。先生が英語のトレーナーとなって、弱点をともに克服していくトレーニング型なので、短期間でも差を感じやすいんですよね。生徒が日本人だけなのは、先生たちに日本人のアクセントの傾向を知ってもらうため。ベトナム人や台湾人はまたアクセントの傾向が違うので、まずは日本人からということです。アクセントだけに留まらず英語力全体について日本人の傾向をよく知り尽くした講師陣を作りたいとも思っています。先生のトレーニングも1日2時間行っていますから、先生の質も高いですよ」(石原さん)

実際、楽なのに英語力が伸びている実感が得られるのは、パーソナルトレーニングという形で自分の弱点を一つひとつ矯正できているからだろう。ただし文法の授業は一切ないので、文法の知識は必要。段階的に学んでいくため、受験勉強などを経験し、勉強方法がわかっている人には腑に落ちやすいカリキュラムと言えそうだ。

自分にベストな学校選びが可能になる3つの基準

今回の体験はもちろん、今まで筆者がセブで英語を学んだときの経験をふまえて考えた、留学先を選ぶときの基準となるのが次の3つだ。

目指すところ

これは自分が英語力をどこまで引き上げたいかということ。

例えば今回体験した2つの学校で考えると、英語超初心者で英語に慣れたいならTARGET、TOEIC400~600点の初中級者が750点までスコアを伸ばしたいならFourWordが良いだろうという印象を受けた。さらにTOEICやIELTSの点数をがつんと上げたいなら、またTARGETに戻り、それ専用に学ぶという選択もある。まずは自分のレベルを把握したいところだ。

予算

TARGETは「TARGET5」プレミアム一人部屋で1週760$、FourWordの一人部屋が1週840$なので、TARGETのほうが安い。しかもTARGETの場合、平日は学校のカフェテリアで3食、食べられるので、食費がほとんどかからない。FourWordは自炊なので、どうしても余分な経費がかかってしまう。学校で留学費用は大きく異なるため、事前にしっかりとリサーチすることが重要だ。

ライフスタイル

レッスン数が多く勉強に追われるTARGETに対して、レッスン数の少ないFourWordは時間的に余裕がある。英語を学びながら仕事もしたいというフリーランスや、子どもといっしょに滞在を楽しみながら英語に触れたいという親子はTARGETよりもFourWord向きだろう。ライフスタイルという観点から選ぶこともできる。

TARGETで飼っている猫

いずれも英語ができるようになるには、才能ではなくて正しい努力をするかしないかというだけ。この3つを基準に、どの学校が自分にとって正しい努力ができるか、そう考えてみると納得いく学校選びができそうだ。