最近、メガバンクが「口座維持手数料」の導入を検討しているという報道がありました。メガバンクが導入すれば、他行も追随することが予想されますが、実際のところ、休眠口座から手数料を取ったり、ユーザーの利用状況に合わせて、サービスに差をつけるというのが現実的でしょう。

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振り返ると、この十数年でATMの時間外手数料やコンビニATM手数料、振込手数料など、銀行に手数料を支払う機会は増えています。メガバンクでも、取引状況によってそうした手数料が無料になるサービスがあります。これは、その取引を行うユーザーが、その銀行にとって「良いお客さま」と認識されているということ。つまり、自分の行動やライフスタイルに合った銀行を選ぶことで、おトクに取引ができるというわけです。

たとえば、みずほ銀行では、みずほマイレージクラブという優遇制度があり、住宅ローンのある人や提携クレジットカードを使っている人、投資信託を保有している人は手数料無料の対象になります。そこから考えると、自行で囲い込めている人を良いお客さまと位置付けているということがわかります。

条件を満たすことが難しいなら、手数料の高い「メインバンク」は給与の振込専用口座にして、自分のライフスタイルに合った「セカンドバンク」を持つのがおすすめです。

セカンドバンクは、手数料から選ぼう

セカンドバンクを選ぶときは、(1)ATM時間外手数料、(2)コンビニATM引き出し手数料、(3)他行宛て振込手数料から考えるとよいでしょう(現在は普通預金の金利はどこも低いため、考慮しない)。

私のおすすめセカンドバンクは、新生銀行と中央労働金庫(中央ろうきん)です。まず新生銀行は、提携しているコンビニATMなら、いつ引き出しても手数料無料なので、時間外にコンビニでお金を引き出す人なら相当おトクです。「新生ステップアッププログラム」というサービスでは、たとえば月5千円からの投資信託の積み立てで、インターネットでの他行宛て振込手数料が月5回まで無料になるため、一考の価値ありです。

一方、中央ろうきんは、すべてのコンビニや銀行・ゆうちょ銀行のATM引き出し手数料をキャッシュバックしてくれるため、手数料は実質ゼロ円。給与振込口座にしていれば、他行宛て振込手数料も月3回までキャッシュバックされてさらにおトクです。

基本的にネット専業銀行は手数料が無料であったり、安く設定されていたりします。支店網がないため、コンビニATM手数料を無料にしてメリットを感じさせているわけです。近所にセブン-イレブンがあるならセブン銀行というように、自分の生活圏内にあるコンビニから考えるのもありです。

セカンドバンクはたくさん増やしても管理が難しくなるため、「日常生活用口座」「貯める口座」の2つまでにしておくとよいでしょう。メインバンクからその月の生活費のぶんを、セカンドバンクに移し、手数料を払わずにこまめに下ろすようにすると節約につながります。買い物の際、クレジットカードのように支払いをしつつ、銀行口座から直接支払いできるデビットカードも、使いすぎを抑えるために有効です。

貯める口座には、ボーナスなどを移し、普段は触らないようにすればOK。信用力の高い銀行を選ぶとよいでしょう。おトクな銀行を選び、貯蓄できる体質になれば一石二鳥ですよ。

山崎俊輔
フィナンシャル・ウィズダム 代表
ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。日本経済新聞電子版ほか、13本のネット連載を抱える。著書多数。