アスリートのようなトレーニングでビルドアップした
――2009年のミス・ユニバース・ジャパン代表に選ばれ、世界大会に進まれました。そのときの経験は、今のキャリアにどのように生かされていると思いますか?
ミス・ユニバース・ジャパン代表に選ばれた頃って、今思うと私にとって本当にありがたい時期でした。今のキャリアのベースをつくってくれたと言いますか。当時、ナショナルディレクターだったイネス・リグロン氏の家に泊まり込んで、毎朝6時に起きて、いろんなトレーニングをするんです。
イネス以外にカナダ人のトレーナーが2人いて、いろいろと指導してくれました。ウオーキングや所作の指導はもちろん、会話はすべて英語で生活します。私はアメリカに留学経験があったので日常のコミュニケーションには困りませんでしたが、やはり世界大会で通用するようなスピーチや高度な会話は経験がありません。この期間でかなり語学力もつきました。
食事はトレーナーの1人がつくってくれて、それ以外は食べてはいけないんです。内容は主にタンパク質と野菜で筋肉をつくるような感じで、炭水化物はほとんど取らないし、お料理の味付けもごくシンプルで素材にペッパーとかレモンを搾るくらい。ほかには、とにかくお水を1日に2リットルくらい飲むようにと言われていました。当時の私の体形は世界大会に出るには、華奢(きゃしゃ)すぎたようで、もっと健康的な体形でないと勝てないということでアスリートのようなトレーニングでビルドアップしたんです。
大変でしたが自分自身、モデルとして、人間としての土台を築いてくれた時期だと言えます。
――まさに絵美里さんのベースとなった時期ですね。今も同じような食事管理やトレーニングはされているんですか?
いえ、いまはそんなにストイックにはやっていないですね。過剰にストレスをかけることは個人的に好きではないですし、食事は普通に食べたいので食べた分だけ運動するというふうに心がけています。仕事の空き時間などを利用して、週に2、3回はジムに行き、40分で5km分のランニングをして、筋トレもします。モデルという職業柄、腕にはあまり筋肉をつけないとかやり方は工夫しないといけないんですが。食事は外食する機会もあるので、そのときは普通に食べますね。周りの人たちと一緒に楽しく食事をする時間なんかは、個人的にすごく大事にしたいと思います。
ただ、自宅で食べるときはやはり野菜とかタンパク質をしっかり食べるように心がけています。日々それほどこだわっているわけではなく、炭水化物も食べますし、朝からパンやおにぎりを食べることもありますよ。ただ、ミス・ユニバース時代の経験はやっぱり影響していて、食材や食べ物にはすごく興味があります。今、お料理教室にも通っているんですよ。
基本的に仕事は朝早いことが多くて、5時か6時には起きて撮影に出向き、夕方には終了して帰るので、そのまま夕食の買い物をして家でご飯をつくります。そういう意味では、健康的なライフスタイルが自然に確立できる仕事につけていて、幸運だと思いますね。
自分をしっかり持つことで周りに左右されない
――昨年、ご結婚されたばかりと伺っています。今後の家庭とキャリアの両立については、どんなふうに考えていらっしゃいますか?
「プレジデント ウーマン」の読者の方々も、結婚して子どもがいらっしゃる方もいれば、夫婦だけの生活を楽しんでいる方、独身の方、いろいろいらっしゃいますよね。ライフスタイルは人それぞれだと思いますが、私より少し先を走っていらっしゃる働く女性たちが、仕事と家庭を両立していくという先駆者になってくださっているのが、本当にありがたいですよね。最初に道を切り開いていくのは大変だと思うのですが、おかげで女性が働きやすくなったなと実感しています。自分の前にたくさん可能性が広がっている時代なので、私自身、これからの人生がすごく楽しみなんです。
――本当に絵美里さんのこれからが楽しみですね。ただ、可能性がたくさんあるからこそ、逆に選択に迷ってしまったり、他の女性と比べてしまったりすることも増えるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょう?
周りのことを全く気にしないというのは無理だと思いますし、私自身も人の目や世間体といったことが気になることはもちろんあります。
ただし、学生時代の留学や、ミス・ユニバースで海外の方と交流していて感じるのは、日本に比べると、自分自身の考えというか、個性を尊重する文化がすごくあるように思いますね。もちろん地域や国にもよるのでしょうが、私の経験から言えば、アメリカなら例えば髪の毛を個性的な色にしていても、すごく体のラインが強調されるようなファッションをまとっていたとしても、自分の軸のようなものがはっきりしていれば、それでいいじゃない、と。
自分自身の価値観や常識がこうだよ、というのをいちいち他人に押しつけるよりは、自分をしっかり持つことで周りに左右されないんです。そういった影響は私も強く受けましたし、できたら、そうありたいなと思っています。
私がカバーモデルとして考えていること
――海外でのご経験の影響が大きかったようですが、ご家庭での教育はどうだったんですか?
そうですね、わりと人は人、自分は自分という家庭だったので、友達が持っているからといって、私も同じものを買ってもらえたりすることはなかったですし(笑)。それも影響していると思います。
もちろん私も迷ったり、人と比べたりはしますし、これからもそうなることはあるでしょう。人間だから。でも、今はものすごく情報過多の時代ですよね。インスタグラムとかフェイスブックとか、いろんな人とつながるにはとても便利な半面、他人のプライベートまで垣間見えてしまう。だからこそ、あまりそれに翻弄(ほんろう)されてしまうと、自分を見失ってすごく苦しくなるのではないでしょうか。そういったことからはなるべく解き放たれて、自分自身をしっかり持つほど、純粋に人生を楽しめるんじゃないかと思いますね。
――カバーモデルとして、これから、「プレジデント ウーマン」の読者にどんなことを伝えたいですか?
私は女性として生まれて楽しいと思う瞬間がたくさんあります。これまでの経験から、いろいろなお仕事をさせていただくにつけ、ファッションやヘアメイク1つ取っても本当に幅があるんです。カバーモデルとして、そして1人の働く女性として、女性として生まれたこと、そして、同時に自分なりのキャリアを築くことを誇りに思って生きていけるように、読者の皆さんとともに歩いていけたら、本当にうれしいですね。
シャツ2万5000円/エキップモン(サザビーリーグ)Tel:03-5412-1937 パンツ5万7000円/エアロン(コロネット)Tel:03-5216-6516 イヤリング4万8000円/カオル(KAORU 伊勢丹新宿本店)Tel:03-3358-6385 サンダル9万円/サントーニ(リエート)Tel:03-5413-5333 ※すべて税抜き価格
1984年東京都生まれ。成城大学法学部卒。大学時代に1年間米国留学。2009年、ミス・ユニバース・ジャパン代表に選ばれる。現在は、女性誌を中心にモデルとして活躍。18年4月号より、「プレジデント ウーマン」のカバーモデルをつとめる。