▼同じ財布VS別財布 どっちが貯まる? どっちが幸せ?
CASE2:別財布

●相談する人:山本香織さん(35歳)
【家族構成】夫(37歳)、子(13歳)【年収】妻 500万円、夫 550万円【月々の収入(手取り)】妻 33万円/月、夫 30万円/月【住居】保有マンション【仕事】メーカー 正社員【趣味】ドライブ、ママさんバレー
●お悩み
・子どもを海外留学させたいが、費用は足りる?
・食費が多すぎるのでは?
・老後が心配

▼お互い貯蓄額も使い道も知らないままでいい?
(1)夕食はほとんどお弁当。余計なものまで買っている(2)義父が病気なので仕送りをしている(3)貯蓄性のある保険、ドル建ての変動型終身年金保険に入っている(4)この中には旅行積み立ての月1万円も含まれる

結婚以来ずっと別財布で家計管理をしてきたという山本さん。前年の収入を参考に生活費を夫婦で案分。貯蓄に関しては一切ノータッチ。

今回取材を受けるにあたり、初めて夫の貯蓄額を知ったという。現在、山本さん夫妻の金融資産は預貯金・証券で約360万円。解約返戻金狙いで貯蓄性のある保険にも加入していて、子どもが18歳になったとき、200万~300万円もらえる予定だ。

「子どもは高校か大学で、絶対に海外留学させたいと思っているんですが、いくらあれば足りるのか見当がつかなくて。英語で仕事ができるレベルになってほしいので最低でも2年は留学させたい」

家計の中で気になるのは食費。しかし、贅沢な外食をしているわけではないという。

「フランチャイズのお弁当屋さんや、コンビニエンスストアでの買い物がほとんどです。おそらく、ついでにデザートや雑誌を買ったり……と、こまごました買い物をするのが原因だと思います」

老後の備えをしていないのも不安だという。

「私たちはお互い“束縛されたくないし、束縛したくない”というタイプで、その意味でいうと、別財布はとっても快適でした。でも、これではお金が貯まらないまま、老後を迎えてしまうことになるのかもと思い始めて……。別財布を続けてもいいものか、改めてプロに相談したいんです」

ファイナンシャルプランナー横山光昭さんからアドバイス
▼別財布のままでもいいのですが、情報共有はしましょう

典型的な“貯まらない別財布”の問題を抱えているケースです。まず、貯蓄に関して夫婦で話し合っていないのはマズいと考えましょう。お互い一生懸命稼いでも右から左に使ってしまっていては、いつまでたってもお金は貯まりません。

別財布のままでいくか、思い切って同じ財布にするかは実はどちらでもかまわない。何より大切なのはまず、月々の収支を夫婦でしっかり共有することです。

イラスト=ミーシャグラフィカ

そして、金額はもちろん、使い道もひとつひとつ見直すべき。たとえば、親子3人でこの食費は高すぎますし、食生活の偏りも気になります。仕事が忙しいなど事情もあるかとは思いますが、週1回でも自炊をするなど改善策を探ってみては。

また、山本さんの場合、月々の保険料が10万円とかなりの額にのぼっています。いくら貯蓄性があるタイプが含まれているといっても、保険をかけすぎると家計を圧迫することになりかねません。

いざというときの備えとして確保するなら、預貯金がおすすめです。共働き家庭なら手取り月収の6分の1を貯蓄に回すのがベター。

保険を見直す際には、必要最低限の保障だけを残して余計な保険は解約し、浮いた分は預貯金で貯めることをおすすめします。預貯金であれば、状況に応じて、いつでも好きな用途に使えます。

もっとも、コツコツ貯めても、すぐ取り崩してしまっては元のもくあみです。せっかく「子どもを留学させたい」という夢があるのですから、目標に向かって貯めましょう。

▼横山さんからのアドバイス「3つのポイント」
食費:金額はもちろん、内容も見直しを
保険:貯蓄がないなら保障は最低限にして、現金で貯める
貯蓄:月収の6分の1を貯蓄へ