▼同じ財布VS別財布 どっちが貯まる? どっちが幸せ?
CASE1:別財布
●相談する人:大川夏江さん(34歳)
【家族構成】夫(40歳)、子3人(9歳・5歳・3歳)【年収】妻:800万円、夫:600万円【月々の収入とボーナス(手取り)】妻:43万円/月、180万円/年間ボーナス、夫:30万円/月、80万円/年間ボーナス【住居】保有マンション【仕事】金融 正社員【趣味】英会話
●お悩み
・夫が貯蓄にも投資にも興味がない
・教育費の目標額は合っている?
・保有マンションが手狭。住み替えたい
▼家計は私に任せきり。夫にも興味を持ってほしい
「結婚以来、ずっと別財布です」という大川さん夫妻。お互い必要な家計費と貯蓄分をよけ、余った分はすべて“小遣い”。もっとも、貯蓄は夏江さん担当。ボーナスも夏江さんは半分を貯金に回しているものの、夫の使い道は把握していない。
「信頼してくれるのは嬉しいけど、“任せきり”はちょっと違うんじゃないかなとモヤモヤします。でも、同じ財布にするのも面倒な気がして」
最も気がかりなのが教育費。現時点で保育料約5万円、サッカーなどの習い事が約3万円の計8万円かかっている。子どもたちが大きくなれば、保育料は減るが、習い事や塾代はさらにかさむことが予想できる。
「夫とも相談し、長男が高校生になるころまでに子ども1人につき500万円、計1500万円を貯める予定です。これを大学の入学金にあてて、足りない分は本人にアルバイトや奨学金などで頑張ってもらおうと考えています。ただ、目標額がこれで合っているのかどうかが心配です」
さらに、部屋が手狭になってきたため、住み替えたいという希望もあるとか。
「いまの部屋は3LDKなんですが、できればもう一部屋増やしたい。ただ、子どもの教育環境を考えると、学区は変えたくない。そうなると駅から遠い物件を選んだとしても、4000万円台後半~5000万円台ぐらい。夫には『これから35年ローンを組むのは厳しいのでは?』と言われています。実際のところはどうなんでしょう?」
ファイナンシャルプランナー横山光昭さんからアドバイス
▼別財布のままでOK! 住宅買い替えならシミュレーションを
まず、教育費の貯蓄目標額ですが「子ども1人につき、大学入学前までに500万円」はごく一般的な数字です。本人たちにアルバイトや奨学金という形で教育費を負担させるのは、やる気を引き出すきっかけにもなります。
一方、住宅の買い替えに関しては、慎重に検討する必要がありそうです。無理のない返済計画を立てるなら「定年までに返済終了」を前提に考えるのがベスト。40歳なら20年ローン、45歳なら15年ローンをひとまず最長と考えます。
頭金は最低1割、理想を言えば2割以上用意したいところ。いまのマンションを売ったお金を頭金にあてる手もありますが、買い叩かれる心配もあります。世間では2020年の東京オリンピックまでは不動産価格が上昇し、その後値崩れするともいわれています。焦らず頭金を貯め、購入するのもひとつの手です。
頭金を貯めるには、夫婦で力を合わせるのが必須。夫婦別財布のままでかまいませんが、家計の状況を共有しましょう。特に気になるのがボーナスの使い道です。夫婦合わせて年間260万円あるボーナスのうち、8割を貯蓄に回すだけで年間200万円以上貯められます。
さらに、毎月手取り収入の6分の1を貯蓄に回せば、大川さん夫妻の収入ならボーナス分と合わせて年間350万円は貯められるはず。5年間で頭金1750万円を用意できます。同じ目標に向かってお金を貯める経験をした結果、夫の貯蓄や投資に対する意識も自然と高まっていくはずです。
住居:買い替えるなら、頭金を増やしてローン負担を軽く
保険:保障は最低限。かけ捨てで負担軽減も
貯蓄:月収の6分の1、ボーナスの8割を貯蓄へ