「家計簿」をつけなくても、管理できる方法があります!

まず「毎月黒字の家計(=毎月、貯金の残高が前月より増えている家計)」を実現したい。冠婚葬祭などで臨時出費が発生したときは仕方ないが、ほとんどの月で黒字になっていれば、貯金は自然と増えていくはず。家計管理が苦手な人におすすめしたいのが「貯金簿」だ。

<貯金簿と家計簿はここが違います!>

▼貯金簿
メリット:つけるのがラクで継続しやすい、資産がどれだけ増えているかわかりやすい
デメリット:家計の問題点がダイレクトにはわからない
向いている人:家計は黒字だが、どの程度資産が増えているかはっきりしない人、預貯金、保険、株などさまざまな金融商品を保有し、住宅ローンなどもあって、資産の総額がわからない人
▼家計簿
メリット:使いすぎている費目がわかる
デメリット:手間がかかり、三日坊主になりがち、資産全体が増えているかどうかわかりづらい
向いている人:現状、家計が赤字の人、いま、何にいくら使っているかわからず、どんな費目が使いすぎているか知りたい人

貯金簿をつけると資産の状況がクリアに

考案者であるFPの畠中雅子さんは言う。

「貯金簿とは、家庭の全資産と負債の一覧表です。つけるペースは3カ月に1度くらいでいいでしょう。つき合いのある全銀行の普通預金と定期預金、財形の残高、解約返戻金がある貯蓄型の保険、国債、株、投資信託などの評価額をすべて書き出します。住宅ローンなど負債があれば、それも書いてください」

独身の人は自分の分だけでよいが、既婚なら夫婦2人分を記載する。もし、3カ月前から資産が1万円しか増えていなかったら……。

「現役で働く世帯としては『かなり少なめ』です。あるいは、『共働きの夫の資産状況がよくわからず、貯めてくれていると思っていたけど、そうでもなかった!』など、見えてくるかもしれません。住宅ローンの残高は順調に減っていても、貯蓄がほとんど増えていなかったとしたら、『繰り上げ返済を頑張りすぎちゃったかも』などの気づきも得られます」

便利な貯金簿だが、弱点は「いまの家計が赤字の場合、どこに問題があるかもわからない」といったとき、つけても問題解決にならないところ。その場合は、従来の家計簿が有効だ。

「家計簿は日々の無駄遣いの洗い出しには最適です。ただ家計簿だけでは家庭の資産全体がどうなっているかは把握しづらいですし、やはりつけるのが面倒な部分も。家計簿をしばらくつけて、赤字を脱したら、貯金簿に移行してもいいと思います」(FP 畠中雅子さん)

【POINT1】1年に4回、3カ月に1度程度のペースで記入する。
【POINT2】「財形」や、確定拠出年金で定期預金をしている場合なども、この欄に記入。子ども名義の預貯金もあるなら、この欄へ。
【POINT3】ここで記入するのは、貯蓄性がある(解約時や満期時に保険金が入る)保険のみ。掛け捨ての保険は記入しなくてOK 。
【POINT4】保険の積立金額がわからない場合、毎年保険会社から送られてくる「契約のご案内」などで確認を。
【POINT5】確定拠出年金で投資信託の運用をしている場合、この欄に記入する。
【POINT6】資産が前回よりどれだけ増減しているかチェック。ローン残高は減っていればOKだが、資産合計は、特別な理由(子どもの進学で入学金分だけ一気に減ったなど)もなく減っていたら問題アリ。

畠中雅子
ファイナンシャルプランナー。マネーライターを経て、1992年より現職。新聞、雑誌、ウェブサイトなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、個人相談、金融機関のアドバイザー業務、金融関連の調査業務、公的機関のアドバイザー業務などを手掛ける。近著に『サヨナラ お金の不安』(主婦の友社)がある。