公立中学と私立中学、進学にかかる費用の差は?

例年、東京の私立中学の受験は、2月1日から始まります。私立中学を受験した子どもたちは、徐々に結果が出て進学先が決まり、ホッとしたり、悔しい思いを抱えたりしている頃ではないでしょうか。遊びたい気持ちをグッと抑えて、長い間勉強に取り組んできたので、これからやっと羽を伸ばせますね。

親も子どもが風邪をひかないように気を付け、お弁当を作り、受験会場への送り迎えなど、気が抜けない日々が続いたことでしょう。お疲れさまです。でも、ここから親には入学準備という仕事が待っています。わが家も末っ子(次男)が今年、地元の公立中学に進学します。今回は、中学校の入学にかかる費用をみていきましょう。

公立中学は、入学までにかかるお金は約10万円

わが家で中学進学をする末っ子は、3番目で親が子どもに勉強させるのに飽きてしまったため(長男、長女2人に労力をつぎ込んでも、あまり効果がなかったため)、私立中学受験はさせず、普通に東京の公立中学に進みます。

まずは、公立中学の進学にかかる費用です(2016年度入学の次男の場合)。1月の学校説明会の際に、体操着の業者が来て頼んだ長袖のトレーニングウエア上下、夏用の半袖のシャツ、ハーフパンツで合計8900円。次に、制服の冬服上下、ネクタイ、長袖Yシャツ3枚、ベルト、白ソックス3足と小学校の卒業式用のレンタルブレザー(1620円)で、5万2818円。夏用のズボン、半袖Yシャツ3枚で1万8087円。制服代は、合計で約7万円です。3月のはじめに業者が来て購入する予定なのは、学校指定の上履き1100円、体育館シューズ3400円。

通学バッグ、通学用の靴は特に指定がないので、適当なものを購入予定で、予算を1万5000円程度と見積もっています(通学バッグは、造りが頑丈なものを選ばないと、教科書などの重みですぐに壊れるのは、上2人で経験済みです)。入学前にかかる費用の合計は、9万9305円。約10万円ですね。

入学後に必要な費用としては、給食費:月額4400円(8月の給食費はないので、年間で4万8400円)、教材費:年間8000円、PTA会費:年額2500円、校外学習費(遠足など):2000~3000円程度、教科ごとのノートや辞書類に数千円かかります。中学1年でかかる年間の費用は、7万円程度。しかも、給食が出るので、お弁当を作らなくてすむのもありがたいことです。例年、奈良・京都へ行く修学旅行費は6万円程度で、中学2年から積み立てを始めます。

公立中学では、入学までにかかる費用と入学後にかかる中学1年間の費用を足して約17万円となりました(次ページの表参照)。

公立中学の場合は、入学金、授業料、教科書代がかかりません。これは、私立中学の場合と比較すると、かなり大きな差になります。

私立中学の場合、入学までにかかる費用は50万円以上

近隣の私立中学でかかる費用を調べてみました。東京都国立市にある桐朋中学校の2015年度の学費は、表の通りです(ホームページを参照しました)。入学手続き時に必要な費用が、入学金27万円と建設資金13万円。制服や体操着、上履き、通学バッグなど必要なのは公立と同じだと思うので、これを約10万円と見積もると、50万円以上はかかります。

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中学入学までにかかる費用と中学1年で年間にかかる費用

入学後に納入するのは、PTA入会金:2000円、生徒会入会金:300円、授業料:月額3万4000円(年間40万8000円)、施設拡充費:月額1万6000円(年間19万2000円)、生徒諸費:月額2500円(年間3万円)、PTA会費:月額500円(年間6000円)、生徒会費:月額450円(年間5400円)、林間学校費(4~9月):月額9500円、もしくは修学旅行費(10~3月):月額9000円(年間11万1000円)。中学の1年間で必要になるお金は、75万4700円。

私立中学では、入学までにかかる費用と中学1年間の費用を足して約126万円となりました(ほかの私立もだいたい100万円以上はかかるようです)。ほかにも、教科書代、教材代、ノートや辞書代などがかかりますし、お弁当を持たせる必要があります。

公立中学の場合は、まだ貯めどきが続くが、私立中学は意識的に貯蓄を!

公立中学の約17万円と私立中学の約126万円を比べると、100万円以上も差があります。

そもそも、東京などの大都市圏で私立中学を受験するには、4~5年生から塾通いさせるのがあたりまえ。そうすると、すでに年間80万~100万円程度の教育費を2~3年使ってきている家庭が多いでしょう。私立中学の受験費用も1校あたり2万~3万円はかかります。

中学生活でほかにかかるお金は、通学のための交通費、部活に使う道具やウェア代、試合の遠征費、塾の費用、お小遣い、携帯やスマホを持っているなら通信費などがかかります。小学生の頃と比べて活動範囲が広くなる分、かかるお金が増えていきます。

公立中学の場合は、学校の授業料がかからない分、このあとの教育費を貯められる時期がもう少し続きますが、私立中学の場合は、意識的に教育費を貯めていく必要があります。

中学だけで教育費が終わるわけではありません。さらに高校、大学と進学するなら、お金はもっとかかってきます。これからの教育費を貯めつつ、今の教育費をどう払っていくか、というバランスを考えることが大切です。

11~12歳、いろいろな能力が伸びる時期であることを実感

ちなみに、うちの末っ子は、勉強は学校の宿題くらいで、ミニバスケットボールの練習を週に4日、スイミング1日、ギターレッスン1日で、夜も21時過ぎには寝てしまうという生活をしていました。中学受験をした子たちとの勉強量の違いはすごくついていると思いますが、彼はそういう生活をした結果、小学校6年生2月の時点で身長が168cmになり、ミニバスケットボールチームのキャプテンとして仲間たちと楽しくプレイをし、市内の陸上記録会で800m走(男子)の好成績を残したことは、本人の自信になったようです。勉強していない分、他の部分が伸びました。

小学5~6年生の頃は、身体的にも感受性の面でも子どもから大人への切り替わりが始まる時期。「この時期にがんばったことは、今後のその子の財産になるのかもなぁ」と実感しています。勉強をがんばった子は、学習能力が飛躍的に伸びているはずですし、次男は勉強以外の身体能力が伸びる時期でした。さらにこの先の子どもたちの活躍を期待して、卒業・入学と見守っていきましょう。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。