大学進学の費用として、予想外にかかるのが、受験料

2016年も1月16、17日にセンター試験が行われ、いよいよ受験本番の時期となってきました。大学受験の場合、合格後に必要な入学金や授業料がかかることはわかっていても、その前に受験料や受験のための費用がけっこうかかることはあまり認識されていないのではないでしょうか。

まず、願書を買う費用。センター試験や国公立大学の願書は、ほとんど無料ですが、私立大学の願書の場合、資料請求ハガキやインターネットで申し込んで取り寄せるか、書店などで取り扱っているものを購入します。だいたい1校あたり700~1000円程度。1枚1000円とすると、5校受けるなら5000円、10校受けるなら1万円かかります。

高校によっては、私立大学から願書がまとめて届き、志願する生徒が自由に持ち帰れるようになっている場合もあります。うちの娘も「学校にあったのをもらってきたから、その学校の願書は買わなくていい」というケースもありました。できるだけそういう情報を得て、利用しましょう。

国公立大志望、私立大志望では、受ける数もかかる費用も違う

受験料は、センター試験が3教科以上1万8000円、2教科以下1万2000円、成績通知を希望する場合は、プラス800円となります。国公立大の2次試験の受験料は、平均1万7000円。私立大の一般入試は、3万~3万5000円。医学系や音楽系などの場合は、4万円以上かかる場合も。

国公立大志望の場合は、センターと2次試験で3万5000円と、滑り止めで私立大を3~4校受けると10万5000円~14万円で、合計14万円~17万5000円程度(1校3万5000円で計算)。

私立大志望の場合は、滑り止め1~2校、実力相応校2~3校、チャレンジ校1~2校などで、4~7校受けることになってきます。受験生がどの学校を本命にしているのか、本人の学力レベルなどによっても受験校数は変わってきます。同じ大学で複数の学部を受けることや、入試方式を変えて受けることも考えると、10以上出願するケースもあるでしょう。

私立大5校受験で17万5000円、10校受験で35万円かかります。

併願割引、センター利用割引、WEB出願割引などで若干のコストダウンが可能

同じ大学で複数の学部を受ける場合は、各3万5000円ではなくて、2学部目から数千円の併願割引がある場合や、明治大学の「全学部統一入学試験」のように、1度の受験で複数学部への出願ができる方式もあります。明治大学のこの方式で受験する場合1学部目が3万5000円、2学部目以降は2万円と割引があります。

センター利用で出願する場合は、改めて受験をする必要がないので、一般入試よりは受験料が安くなります。だいたい1万~2万円の範囲で、1万5000円程度が多いようです。また、パソコンなどで出願をする「インターネット出願」「WEB出願」も増えていて、郵送による出願方式と併用している大学では、「WEB出願割引」が4000~5000円程度ある大学も。

「インターネット出願のみ」という大学も増え、青山学院大学や明治大学などは、2016年度からインターネット出願(WEB出願)のみとなりました。受験料のコンビニ納入やクレジットカード払いもあたりまえになりつつあります。だんだん願書を取り寄せる、受験料を振り込む際にかかる費用や手間が省けるようになっていっています。銀行の窓口で受験料を振込み、郵送で願書を提出する従来の出願スタイルも、近々なくなってしまうのでしょう。

自宅から離れた大学を受ける場合は、交通費、宿泊費も必要に!

自宅から離れた場所にある大学を受ける場合は、交通費や宿泊費も必要になります。距離や交通手段にもよりますが、北海道から東京に飛行機で来る場合は、往復6万~8万円程度、大阪から東京に新幹線で来る場合でも2万~3万円はかかります。宿泊も受験期には、あまり安い宿は空いていないこともあり、1泊2食付きで1万~1万5000円くらいかかるとすると、3日宿泊で3万~4万5000円、7日宿泊で7万~10万5000円になります。受験生だけの交通費、宿泊費だけでも合計20万円近くになる場合もあり、保護者も付き添う場合は、その2倍かかることに。

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大学受験にかかる費用の例(地方から東京の私立大学10校を受験する場合)

交通費と宿泊費をかけずに自宅から遠い大学の受験をするには、地方受験を活用しましょう。大学のキャンパスがある場所だけでなく、全国各地の主要都市に受験会場を設ける大学も増えています。たとえば同志社大学は、地元京都のほか、札幌、仙台、新潟、東京、金沢、静岡、名古屋、神戸、和歌山、米子、岡山、広島、高松、松山、福岡、鹿児島と全国17都市で受験することができます。地元や最寄りの都市で受けられる大学はないか、調べてみましょう。

交通費と宿泊費の節約には、センター利用で受験することも有効。センター試験は地元で受けられるので、遠隔地の大学へ出向かずに、受験することができます。

入学金、授業料だけでなく、受験にかかる費用も考慮して準備しておこう!

細かい話ですが、ほかにも雑費として、願書に貼る顔写真の撮影・プリント料金数千円(うちの場合、撮影料と10枚プリントで4000円でした)、願書を郵送する場合は、1通に付き710円(簡易書留・速達)の郵送料、受験料を窓口で払う場合は、振込手数料が864円(3万円以上の他行口座への振り込みの場合)かかることも。

すべて足してみると、20万円~50万円程度かかってしまうのが、受験をするまでの費用です。受験時にかかる費用のこの分まで想定して貯めておくのがおすすめですが、「こんなにかかるとは思っていなかった」という保護者が多いようです。

予想以上にかかったというご家庭は、一時的にでも貯蓄を崩して対応せざるをえません。大学の進学用に貯めていたお金が減ってしまったら、2年以降の授業料の支払いにも影響するので、奨学金や教育ローンを検討しましょう。せっかく入学したのに、お金の不備で退学させることのないように、お金のことは早めに動いておくのが正解です。

このあとに入学金が、国立大で28万2000円、私立大で20万~30万円、1年間の授業料が国立大で53万5800円、私立大で80万~100万円ほどかかります(国立大学は、標準額)。この後の納入費用を考えると、できるだけ受験費用は抑えたいところですが、受験勉強してきたことをムダにしないためにも、浪人するよりは現役で入学してもらいたいと、ついつい多めに受けさせてしまいがちです。しっかり受験プランを考えていきましょう。

また、入学金は金額が20~30万円になりますが、1度支払ったら戻ってこないので、できるだけ入学金を二重払いしなくてすむような受験スケジュールを検討しておくことも大事です。

※記事中の金額は、記事を執筆時の2016年1月時点のもの。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。