友達に聞いた、「佐賀→東京(成田)の航空券が片道8000円!」の情報

先日、実家がある福岡に帰省して地元の友人とお茶をしました。「この間東京に行ったっちゃけどさ、佐賀空港から成田まで片道8000円やったと。安くない?」。彼女は家族と栃木県の日光に観光に行くのが目的だったので、成田からレンタカーを借りたそうです。すごく賢い旅行プランだと思って、興味深く話を聞きました。そして、「8000円で行けるんやったら、また東京に行ってもよかね」とも。

調べてみたら、成田⇔佐賀は、春秋航空日本という中国系のLCC航空会社の便で、この会社は、2014年6月から、成田⇔広島、高松、佐賀への3つの国内線を就航開始させていました(成田⇔高松便は2015年10月で終了)。私はここのところ帰省時には東京⇔博多間の新幹線を利用していたので、この情報は全く知らず……。新幹線だと運賃が往復4万円ほどかかりますが、この便を利用すれば成田まで行く交通費を考慮しても半額程度ですみます。「格安航空券は、そんなことになっているのか!」と思ったことをきっかけに、今回、国内線のLCC事情を調べてみました。

LCCは、徹底的なコストカットで低料金を実現

そもそもLCCとは、「Low Cost Carrier」の略で、格安航空会社のこと。国内線におけるJALやANAなどのフルサービスの航空会社とは違い、サービスを限定的にして運営コストを下げることで運賃の低価格化を実現しています。

従来の航空会社とLCCとの違いは、いちばんには運賃の安さ。フルサービスの航空会社では込みになっている、機内食、飲み物、毛布・イヤフォンの貸し出し、手荷物の預かりなどが別料金で設定されています。サービスについては自分に必要な分だけ購入すればいいので、LCCの方が合理的だと考えることもできます。運賃の低価格化を実現するために、コストカットが徹底しているので、使用する空港は使用料が安いためにアクセスが不便なところだったり、座席の予約も有料になる場合もあるなど、料金が安い分、不便なことには対応しないといけません。

限られた機材を効率よく使っているため、遅延が起こりやすいことが想定できますし、1日1便しかないルートで欠航となると、原則ほかの航空会社への振り替えはないので、翌日以降の便への振り替えとなり、宿泊費などが必要になる場合は自己負担となる可能性もあります。

特に機内持ち込み荷物とカウンターで預ける荷物の規定には注意しておいたほうがよさそう。荷物を預ける場合は基本的には有料で、荷物の重さによってプラス料金が発生することも。また、荷物を預けることを事前予約しておくのがおすすめです。当日預ける場合には事前予約より高くなる場合があるようです。

国内線を運航している主なLCC5社の特徴

それぞれのLCCは、運行している路線や力を入れているエリアに特徴があるので、国内線を運航している主なLCC5社の特徴を調べてみました。

スカイマーク(http://www.skymark.co.jp/)は、1998年9月に国内でいちばん最初に開業したLCCです。最初は東京⇔福岡間の就航からスタートしましたが、今では9カ所の就航地間で毎日18路線を運航しています。スカイマークは、東京の空港を成田ではなく羽田を使っているのが特徴。なかでも、搭乗3日前まで予約可能でおトクな「いま得」という料金設定には注目です。業績が悪化したため、2015年1月に民事再生法適用を申請し、株式は上場廃止になりましたが、その後も事業は継続。ANAホールディングスなどから支援を受け、再建計画を進めています。

ジェットスター・ジャパン(http://www.jetstar.com/jp/)は、オーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア路線を中心に運行するジェットスターグループの会社で、カンタスグループ、日本航空、三菱商事などが出資しています。日本の国内線は2012年7月から就航を開始。現在、就航地は全国11都市、18路線で1日最大100便超の運行を行っています(同社ホームページより)。他社よりも運賃が高い場合は、10%引きになるという「最低価格保証」があるほか、座席指定や受託手荷物などのオプションをまとめて追加できる「ちゃっかりPlus」や「しっかりMax」などの料金設定も。

バニラエア(https://www.vanilla-air.com/jp/)は、ANAホールディングスが100%株主で、2011年に設立されたLCC。2012年から就航を開始しました。国内の就航地は、東京(成田)、札幌、那覇、奄美大島の4カ所。バニラエアの注目路線は、奄美大島便。東京→奄美大島の場合、片道の最安運賃5690円~(※1)。運賃は定額ではなく空席連動制なので、日々に変わっていきます。搭乗日が近づいて空席数が少なくなるほど運賃が上がる傾向があるので、タイミングを見て予約することが大事。国内線の予約購入は、出発予定時刻の40分前までOKと、急な出張やお出かけにも対応可能です。空港カウンターで預ける荷物が20キロまで無料になる「コミコミバニラ」、料金の安さが魅力の「シンプルバニラ」、2つの運賃タイプから選びます。

ピーチアビエーション(http://www.flypeach.com/jp/)は、ANAホールディングス、ファースト・イースタン・アビエーション・ホールディングスなどが出資し、2011年に設立されたLCC。ANAから独立した独自の経営モデルで、就航地は11カ所、大阪(関西)をベースとした路線を運航しています。料金タイプは、組み合わせ自由なアラカルト運賃「ハッピーピーチ」と、オプションがセットになったバリュー運賃「ハッピーピーチプラス」の2つ。大阪(関西)→東京(成田)便が片道3690円~(※1)など魅力的。

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国内線LCCの主要5社の特徴

ピーチアビエーションで個人的に注目したのが、大阪(関西)⇔ソウル(仁川)往復7200円(~2016年2月23日まで販売分の料金)、東京(成田)⇔台北(桃園)往復1万2000円(~2016年3月15日まで販売分の料金)という、宿泊なしの「弾丸スペシャル」という運賃プラン。国際線でありながら、宿泊なしの海外旅行プラン、すごすぎる!

春秋航空日本(http://j.springairlines.com/jp)は、中国初の民間LCCである春秋航空のグループ会社として2012年に設立されました。2014年から、国内線3路線の就航をスタート。現在は成田を拠点とし、広島、佐賀への就航を行っています(2015年10月から成田⇔高松便は撤退)。成田→佐賀5700円~、成田→広島5690円~(※1)という料金設定になっています。

この春秋航空日本のように、LCCは、収益率が悪化した路線は減便、廃止ということも考えられるし、需要が見込める路線については増便する場合もあります。このあたりの動きも早いので、利用の際には注意が必要です。

航空機の運賃は、搭乗時期、曜日、時間、早割の種類、空席状況などで変わる

航空機の運賃は、搭乗する時期(年末・年始やお盆の時期は高いなど)、曜日(金曜、土曜などは高め)、1日のうちでも時間(早朝は安いなど)によって違ってきます。さらにわかりにくいのは、予約をする時期で利用できる割引制度に違いが出たり、予約の変更ができるかできないかなどの条件によっても料金に差が出てきます。また、LCCの場合は、空席状況によっても料金が上下するので複雑です。

通常の時期は、成田→大阪3690円~(ピーチアビエーション※1)、成田→札幌3990円~(バニラエア※1)、福岡→那覇4700円~(スカイマーク※1)などの料金設定になっています。年末・年始やお盆の時期は需要が増えるので、運賃は通常の時期より高くなりますが、ほかの交通手段と比較したらまだ安いかもしれません。

また、とんでもなく安い運賃になるセールを定期的に開催しているのもLCCならでは。春秋航空日本は、毎月7日から成田→広島、成田→佐賀が737円(税金等別)になる「737キャンペーン」を行っています。ジェットスターの就航記念セールは、1000円以下になることが多く、注目! バニラエアでは、格安のキャンペーン運賃「わくわくバニラ」が不定期に登場。各社のキャンペーン情報を逃さないためには、メルマガ登録をしておくことがおすすめです。

LCCと一般の航空会社の料金が一括比較できるサイトで調べてみよう!

「自分が利用したい路線にどんなLCCが運行しているのかわからない」という場合や、「どの航空会社のどの割引でとるといちばん安いのか知りたい」という人は、インターネットの比較サイトの活用を! 「旅行比較サイト トラベルコちゃん」(http://www.tour.ne.jp/)、「スカイスキャナー」(http://www.skyscanner.jp/)などで比較してみましょう。フルサービスの航空会社の料金もLCCの料金と一緒に掲載されていますが、早割などが使える時期だと、フルサービスの航空会社もLCC並みに安くなる場合があるので、そのあたりもよく比較して選択しましょう。フルサービスの会社とLCCが同じくらいの運賃だったら、サービスにプラス料金が必要なく、マイルもたまるフルサービスの会社の方がおトクになります。

国内線のLCCでは、羽田より成田を使う路線のほうが多くなります。東京から成田までの交通費や時間も調べてみました。人気の成田エクスプレスや京成スカイライナーなどは、所要時間が比較的短いですが、運賃が2000円台になります。安さを追求するなら、東京駅八重洲口から成田までの京成高速バスが900円(事前予約料金)で所要時間60~70分、東京・銀座から成田までの高速バス、THEアクセス成田が1000円で60~70分というのがおすすめです。バスは混雑が予想されるので、ネットで事前予約をしておきましょう。

成田空港ではLCCの利用率が高まってきたのを受けて、2015年4月にLCC専用の第3ターミナルをオープンしました。駐車場や電車の駅がある第2ターミナルからは少し遠くなるので、空港内の移動時間を考えて、早めに到着するようにしましょう。第3ターミナルには、新しくフードコートやショップもオープンしました。

国内線のLCCの存在を知ることで、もっと気軽に旅に出かけたり、親の顔を見るのに実家に帰ったり、ということが増えればいいなと思います。LCCは、往復割引がないので、行きと帰りは違う航空会社やルートをたどってもかまいません。電車やレンタカー移動と組み合わせた旅のプランを立ててみませんか。ちなみに、佐賀空港では、飛行機に搭乗して来た人はレンタカーを24時間1000円(同乗者2名の場合)で借りられるキャンペーンを実施中です(2016年3月31日まで。要予約)。

※1 記事中の最安運賃は、記事を執筆時に発表されていた2016年3月26日までの最低価格。

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。