マイホーム、車、家電など、大物ほど消費税率アップの影響は大きくなる

いよいよ4月から消費税率が8%へとアップする。1年以上前から、消費税増税前にマイホームや車を買っておこうという動きはあったが、これからひと月、どんなことをしておけばいいのだろうか。子育て世代の消費ポイントについて考えてみよう。

基本的に、マイホーム、車、家電など、購入金額が高いものほど消費税率アップの影響は大きくなる。

マイホームなら物件の引渡し時、車なら登録日または納車日の税率が適用されるので、これらの買い物を3月末までに行うのは、ちょっと厳しいかもしれない。マイホームなら建売りですぐに入居できるもの、マンションも出来上がっていてすぐに入居可能なものなら可能性がある(対象は新築の場合。そもそも個人が所有する中古物件には消費税がかからないので)。車も3月中に登録または納車できるものを限定で探せばあるのかもしれないが、欲しい車種があるとは限らない(車種で妥協しても5%の税率で買いたい人は急いで!)。

ただし、マイホームに関しては住宅ローン減税の拡充や、すまい給付金の創設、車に関しても自動車取得税の軽減など、消費税増税後にも消費が冷え込まないような政策がとられているので、それらを利用したときとの兼ね合いで判断したい。いずれも慌てて購入するにしては遅過ぎた感がある。次は、消費税率10%へのアップ前までに決断するかどうかを検討するのが現実的。

家電は、消費税増税前の駆け込み需要を見越して生産量を増やしているものが売れ残れば、消費税率アップ分以上に本体価格が下がる可能性もある。買い替え時期が迫っている冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコン、パソコンなどがあれば、駆け込みで購入するのも手だが、買い替え時期ではないのに無理に買い替える必要はないだろう。

新入学にかかるものなど、必ず購入するものは3月中に

新居購入、転勤などで引っ越す場合や、子どもの大学進学、夫の単身赴任などで一人暮らしを始める家族がいる場合は、新居のための家電や家具、照明器具、カーテン、寝具などは3月中に購入しておこう。引越し費用にも消費税がかかるので、3月中がおトクだが、引越しシーズンもピークですでに予約がいっぱいの場合も。できるだけ早めに動くのがおすすめだ。

子どもの新入学を控えた家庭では、ランドセルや学習机、制服、通学用の靴、入学式に着る親子のスーツなど、必ず購入しなければならないものは3月中に購入しておきたい。学校指定の体操服や教材などが入学前にわかっている場合は、購入しておくとよい。

子どもの散髪やママの美容院もすませておくといい。ヘアカット代は、4月を待たずに料金改定してしまっている場合や、料金改定せずに据え置く場合など対応はお店によって分かれそうだが、4月から値上げするヘアサロンも多くなると予想される。

通学に定期券が必要な場合は、3月中に6カ月分などできるだけ長期で買っておきたい。大人の通勤定期も同じ。ほとんどの交通機関で4月から運賃改定をするからだ。

お稽古事の月謝や学習塾の授業料なども4月から価格改定して上がるところが多い。これは先にまとめ払いするわけにもいかない。できることは、お稽古事で使う道具や塾のテキストなどを先に買っておくことくらいだろうか。月謝や授業料が上がる機会に、このまま続けていくのか、身が入っていないお稽古事はやめる選択をするのか、一度親子でシビアに検討する必要があるだろう。

3月が「ただたくさん買い物をして赤字になった月」にならないように、
家計管理をしっかりと!

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消費税増税前に買った方がいいもの、払った方がいいものの例

トイレットペーパー、ティッシュペーパー、洗剤やシャンプーなどの日用品は、悪くなるものではないので、必ず使うと決めているものなら、ある程度買いだめしてもいい。しかし、かさばるものが多いため、保管場所との兼ね合いで量は調整しよう。また、たくさん在庫があるからと使いすぎては本末転倒。

家族の肌着や靴下、ストッキングなどの消耗品は、少し買っておいてもいい。子どものものはすぐにサイズが合わなくなるので、今年使う分くらいにしないとムダになってしまう恐れも。

食品では、調味料や缶詰、レトルト食品、カップ麺など保存がきく食品は、業務用スーパーなどでまとめて買っておくことも考えよう。その際のポイントは、消費期限までに使い切れる量にすることと、いつも使っていて味がわかっているものを買うこと。大容量の食品を買っても、口に合わないものではムダになってしまう。冷凍食品も保存がきくので買いだめの対象になるが、冷凍庫に入る分にしないといけない。

そして、肝心なことは、買いだめのための予算を家計からどう捻出するか。将来買う予定の日用品や食品を先に買ってしまうことになるので、ここで使った分は、4月以降は使わずにすませなければ意味がない。まずは、買いだめをしてもいい予算額を決めて、毎月の支出以外の特別支出として計上(一時的に貯蓄から出すなど)。その範囲で買えるものを買い、そこで使った金額を4月以降の毎月の支出を抑えて戻していくのが合理的な家計管理の方法だ。

そうでなければ、3月は、「ただたくさん買い物をして赤字になった月」になってしまう。一番避けたいのは、「駆け込み消費、今買わなきゃ! 今買いだめしなきゃソン!」とばかりに予算を立てずに大きな金額を消費してしまうパターン。増税前の消費行動は冷静に!

フリーライター 生島典子(いくしま・のりこ)
投資信託の運用会社、出版社勤務を経て独立し、2004年よりライター・編集者として活動。子育て、家計、住まい、働き方などが主な執筆テーマ。好きなことは、出産と住宅ローン。3人の子どもを助産院で出産した経験あり。