マイホーム購入は人生の一大事。住宅ローンで買った家は、財産といっても借金のかたまりで、しかも高い利息がつく。つまり、毎月、返済を続けていく住宅ローンこそが大きな買い物であり、その利息は少しでも少なくしたい。

そこで、同じ金額を、同じ金利で、同じ期間で借りても、総返済額を減らす方法がある。どれくらい減るかというと、借入金額3000万円、全期間固定金利2.2%、借入期間30年の、現在の一般的な住宅ローンでも、返し方によって108万円も利息が安くなるのだ。

住宅ローンを返済しながら、100万円を貯めることは至難のワザ。100万円あったら……、住宅ローンを返済している途中で重なる子どもの大学の入学金をねん出できるだろう。

「元利均等返済」はリボ払いのようなもの

住宅ローンの返済方法は、「元利均等返済」と「元金均等返済」がある。「利」と「金」の1文字違いなのだが、その内容は30年で約100万円の差となる。

元利均等返済とは、毎月の返済額が一定のもの。金融機関では「家賃のように毎月同じ金額を返していくやり方なので安心できますし、返済計画が立てやすいですよ」と説明されることが多いだろう。商品性として元金と利息の合計額が毎月同じになるように計算されており、つまり「元利」が均等になるようになっている。

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元利均等返済と元金均等返済の違い

図を見てわかる通り、元利均等返済の内訳ははじめのうちは多くが利息の返済に当てられ、元金が減るのが遅い仕組みになっている。説明がしやすいのと収入基準をクリアしやすいこともあって、広く一般的に利用されている返し方だ。

この返済方法が向いている人は、「返済スタート時の支払額を抑えたい」「毎月の返済額を一定にして生活プランを建てたい」「家賃のような払い方で安心感を得たい」など。

家賃のように毎月一定、しかも賃貸と違い住宅ローンは更新料がない……、とは聞こえがいいが、元利均等返済は「なかなか借金が減らないリボ払いのようなもの」とも説明できる。モデルプランとして借入期間3000万円、全期間固定金利2.2%、借入期間30年の元利均等返済での総返済額は4101万円、内利息は1101万円となる。

最初に頑張るとあとがラクな「元金均等返済」

一方、元金均等返済は、毎回支払う元金の部分が均等になる返済方法だ。元金部分に残高に対する利息が上乗せされるので、返済額は毎月違ってくる。最初のうちの返済額が一番大きく、返済を重ねていくにつれ返済額は少なくなっていく。元利均等返済に比べて、元金部分の減り方が早くなる分、払う利息が減るというわけだ。

この方法が向いている人は、「現在、返済するお金に余裕がある」「今は収入が多いが、妻が退職するなどで将来の収入が減る可能性がある」、など。何といっても「子どもの教育費がかかる頃に返済額が減っている」のがいちばんのメリットではないだろうか。

つまり、最初のうちはキツいけれども、返済が進むにつれ金額が減ってき、あとがラクになる。モデルプランとして借入期間3000万円、全期間固定金利2.2%、借入期間30年の元金均等返済の総返済額は3993万円、内利息は993万円となり、元利均等返済より約108万円も利息がトクになる。

ワンランク上の元金均等返済の利用法

ここで元金均等返済を使った住宅ローンのもっと上手な返し方を提案したい。

もし、元金均等返済の当初の返済額が家計の中からねん出できるのだとしたら、住宅ローンの返済は別口座にし、そこに毎月、家賃を払うように当初の返済額と同額を入金していこう。実際、引き落とされる返済金額は徐々に減っていくのだから、口座には少しずつお金が貯まっていく。まとまった金額になったら、それを繰り上げ返済に回せばさらに利息が減ってトクをする。住宅ローンの最初だけを頑張るのではなく、しばらくその頑張りを続けられれば、繰り上げ返済ができ返済期間がぐっと短くなるというワザだ。同額をねん出できる時期を考え、わが家のライフプランに合わせて検討してみてはどうだろうか。

なお、元金均等返済は住宅支援金融機構の「フラット35」なら全金融機関で利用ができるが、一般の住宅ローンでは金融機関にとって利息が減るからかあまり表には出ていなく、また扱っていない金融機関もあるので、できるかどうかの問い合わせを。

また、今回は全期間固定金利で紹介したが、10年固定金利も変動金利も元金均等返済方式を選ぶことはできる。しかし、変動金利の動向はこの先誰もわからず、毎月の返済額が減っていくとは限らない。元金均等返済方法がいちばんよい方法かどうかは一概にはいえないのを付け加えておく。

マネージャーナリスト 坂本君子(さかもと・きみこ)
広告代理店、出版社にてサラリーで働くエディター、ライター、プランナー、コピーライターを経てフリーに。得意分野は投資、住宅関連。大ブレイクはしないけれど、仕事は堅実でハズさない。満を持して2008年に起業。個人投資家としての投資歴は15年選手(ちょっぴりプラス)。