男女混合の組織が普通になりつつあるが、どうも異性との話がかみ合わない。その理由を生物学的に検証しつつ、すぐに役に立つ会話術を紹介しよう。

いつも沈着冷静な女性上司を演じよ

一方、女性から男性に対する上手な話し方はどうなのだろうか? マイクロソフトで管理職を務めた田島弓子さんに聞いてみた。

田島弓子さん

「同じことを言っても、女性の言動には『男性よりも感情的』というバイアスがすごくかかるもの。いつも沈着冷静な自分を心がけ、ものの言い方も必要以上に冷静にというのも、女性が人の上に立つうえで損しない方法だと思います」

管理職になるほどの女性は、仕事に対して人一倍真面目な人が多い。自分が一生懸命取りまとめているものを期日までにやってくれない男性がいると、ついつい「じゃ、いつまでにオッケーもらえるんですか!」「私がこんなに頑張ってるのになんでやってくれないの!」と、追い詰めるようなコミュニケーションになってしまいがちだ。そんな女性を見ていて、田島さんは物陰に呼んでよく注意したという。

「あのね、あなたにとってできは7割かもしれないけど、周りの目から見たらもう100%できてるから、あんまり突き詰めなくても大丈夫だよ」

そうすると、女性もハッと気がついて「私、そんなにテンパっていました?」と反省する。

「会社はまだまだ男性社会なので、上に立つ女性は『なめられまい』と鎧をきてしまいがちなんですね。そうすると、話しにくい、扱いにくい上司になってしまう。たとえ水面下で足をバタバタさせていても、表面はちょっと抜けているぐらいのホンワカな感じのほうが、周りも助けてくれるし、声もかけてくるし、情報も入ってくる。これがひとつの目指すべき女性上司像だと思います」

部下が失敗したときも、「どうして? お客さんになんて言ったの?」と追い詰めるより、笑顔で「今回は君らしくないよね。どうしたの?」と聞く。ユーモアも交えつつ、でも目は笑っていないなど、女性にしかできない「ほんわかコミュニケーション」という武器である。