昇進によってかつての同僚たちが部下になるケースは珍しくない。しかし、同僚を上司としてマネジメントしていくことは決して楽ではない。周りに支えられながら、管理職として上手に振る舞うコツを教えよう。

人間関係の力学が完全に変わるとき

管理職への昇進は胸の高鳴る変化だが、神経をすり減らす経験になることもある。かつて同僚だった人々の上司になった場合はとくにそうだ。新任の上司は、昇進で得意になっているような振る舞いをせずに、信用と権威を確立する必要がある。

どのようにしてこれを達成するかは、その人のいる組織とその人自身のリーダーシップ・スタイルに左右されるが、どんな異動もより円滑にする一般的なルールがいくつかある。

「一般的な中間管理職のグループに、昇進してかつての同僚を指揮する立場になったことがあるかと質問したら、90%が『ある』と答えるだろう」。こう語るのは、ジェネシス・アドバイザーズの会長で、『The First 90 Days』と『Your Next Mo ve』の著者としても知られるマイケル・ワトキンスだ。

だが、仲間が大勢いるからといって、それで事態が好転するわけではない。「これは難しい状況だ」と、『Good Boss, Bad Boss』の著者としても知られるスタンフォード大学経営工学教授、ロバート・サットンは言う。「人間関係の力学が完全に変わるのだ。人々は元同僚の上司をかつてないほど細かく観察し始める」。

ワトキンスも同様のことを言う。「どんな昇進にもともなう挑戦と、以前は同僚だった上司と新たな関係を築かねばならない部下に対処するという挑戦が一緒にのしかかるわけだ」。その状況にうまく対処する方法を紹介しよう。