問題解決のエキスパート中のエキスパートであるコンサルタントたち。彼らの頭のなかではどのように思考が巡らされ、最善かつ有効な解決方法が導き出されているのだろう──。
USEN代表取締役社長 
中村史朗氏

仮説の検証などのディスカッションの場で交わされるマッキンゼーとBCGの共通語が2つ存在する。それは「Why?」と「So What?」だ。もちろん前者は「なぜ」という意味。後者についてBCG出身のUSENの中村史朗氏は、「何を意味しているのか、何の示唆があるのかということ。ミーティングで何かグラフをプロジェクターで発表したとたん、『So What?』が飛び出す。それって何の意味があるの、この事実が何の仮説を補完しているのかを問いながら、より確度の高い仮説を導き出そうとしているのだ」と説明する。

そうやって丁々発止の議論を行うのは、「健全な否定と肯定の繰り返し」によってこそ最善の問題解決策に近づけると考えているから。そして、このBCGのディスカッションの場においても重要な鍵を握っているのが、やはり多面的な視点なのだ。BCGの東京事務所には「多様性からの連帯」と毛筆で書かれた大きな書が掲げられていることからも、同社が異質な人材の組み合わせを重視していることがわかる。

また、「Why?」と「So What?」をセットで活用した問題解決の思考法のトレーニング方法もある。たとえば、シェアが落ちた原因を「Why?」で突き詰めていくと、「商品の人気がない」「デザインや企画がイマイチ」といった理由から「開発力が弱っている」という真の問題にゆき着く。次に「So What?」を繰り返していくことで、「人材不足を補う」「外部から優秀な人材を引き抜く」といった仮説が導き出されてくるのだ。