問題解決のエキスパート中のエキスパートであるコンサルタントたち。彼らの頭のなかではどのように思考が巡らされ、最善かつ有効な解決方法が導き出されているのだろう──。

「世界中で有名なコンサルティング・ファームはどこか」とたずねられて、すぐに頭のなかに思い浮かぶものといったら、マッキンゼー・アンド・カンパニー(マッキンゼー)とボストンコンサルティンググループ(BCG)ではないだろうか。有名OBとして前者には大前研一氏、そして後者には堀紘一氏がおり、両社の関係者が著したコンサルティングに関する書籍を目にする機会も多い。

そして、売り上げ減、マーケットシェアの低下、組織の再編成などさまざまな問題を抱えたクライアント企業に対し、有効な解決策を提案して実績をあげてきた両社の“問題解決の思考法”については誰もが高い関心を寄せる。では、実際に問題解決方法を思考していく際に当たってのポイントとは何なのだろう。

ロコンド代表取締役社長 
田中裕輔氏

靴の通販サイト「ロコンド.jp」を運営するロコンドの共同創設者である田中裕輔氏は、2007年にマッキンゼー史上最年少の26歳でマネージャーに就任した人物。その田中氏は次のように語る。

「営業マンの売り上げ成績が落ちているという問題があったとしたら、なぜ売り上げが落ちているのか、原因ともいうべき“真の問題”をまず理解する。そのうえで、どのような“質問”を設定し、“答え”を探していったらよいのかを考える。この質問が課題(=イシュー)であり、ここが曖昧であると、最終的にクライアントに提案しても、『そんな内容のものを望んでいたわけではない』となってしまう。だから、軸となる『何の質問に答えるべきなのか』という課題がブレないよう明確にすることが最も重要だ」

確かに、営業マンの売り上げ成績の不振は企業にとって大問題だが、その原因を探っていく場合、営業マンのスキル不足、商品力の劣化などの要因が考えられる。そこで営業マンのスキル不足が真の問題だとわかれば、「スキルアップを図るためにはどうすればよいか」という課題を設定することができる。