午後11時過ぎ、東京駅八重州口付近にできる人だかり。最近では、深夜バスを利用する人のなかにサラリーマンや女性も増えた。不況で脚光を浴びているが、「安くて快適」は本当なのだろうか。ライターと編集者が、大阪へのバス出張を体験してみた。

東京―大阪間の深夜バスは私と女性編集者のふたりが利用したのだが、まずはプレジデント誌編集者の体験記から。

プレミアムドリーム号のプレミアムシート。飛行機のビジネスクラス以上の広さ。

プレミアムドリーム号のプレミアムシート。飛行機のビジネスクラス以上の広さ。

彼女が乗ったのは午後11時30分発の大阪駅行きプレミアムドリーム号。2階席の最後部3席は女性専用になっており、そのうちの1席を利用した。彼女はカイロ、マスク、アイマスクなど準備して乗車している。なお、メイクは乗車前に落としたとのこと。

「発車の10分前にバスが到着。東京駅に停留所はあるが待合室はない。あまり早く着きすぎると立って待つことになる。検札も案内も運転手がひとりでやる。その日の乗車率は7割程度。女性は私、子供連れの母親を含めて3名しかいなかった。平日ということもあり、学生と男性サラリーマンがほとんどだった。

定刻通りに出発し、高速に乗ると車内は暗くなる。しかし、運行規則上真っ暗にはならない。車内が寒いと嫌だなと思い、厚着をしてきたがバスの温度はちょうどよかった。加えて席には毛布が置いてある。また、暑い、寒いは運転手に言えば調節してくれるとのこと。

午前一時、足柄サービスエリアに到着。ここでトイレ休憩。車内にもトイレは装備してあるが、相当狭いのでサービスエリアで利用したほうがいいと思う。バスはそこで一度休憩するだけで、あとは大阪駅までノンストップ」

「……出発して3時間半。午前3時なのに眠れない。バスが走る音だけが聞こえてくる。席が窮屈というのでなく、深夜バスに慣れていないので寝ることができない。早く眠らないと明日の仕事にさし障ると思い、焦ってしまう。しかし、焦れば焦るほどよけい眠れなくなる。そのうちに小さな子供が泣き出した……。

……腹を立てているうちにいつの間にか寝てしまったようで、気づいたら午前7時。大阪市内を走っていた。眠ることができたとわかるととたんに爽快な気分になり、バスの出張も悪くないと思う。

到着は午前7時15分。予定よりも15分早かった。バスを降りたら、予約しておいたメイクアップラウンジ『アンジェルブ』へ。場所は大阪駅の御堂筋口近く。バスを降りた場所から歩いて3分。料金は1時間300円で、営業は午前6時30分から。すでに先客が5人いた。アンジェルブでは美容家電(無料の会員登録が必要)、最新コスメが利用できた。私もさっそく新製品を試した。男性なら早朝サウナを利用するところだが、女性はなかなかそうはいかない。着替えや化粧直しができる場所があれば深夜バスの出張もいいかもしれない」