Eさんの悩み

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Eさんの家計簿

Eさんは現在61歳。メーカーで技術系エンジニアとして働いていたが、60歳になったら年金をもらってのんびり暮らそうと考えて定年退職をした。子どもが独立した後は「悠々自適」が夢だったのだ。

妻は正社員で看護師をしている。仕事好きで「最低でも65歳までは働く」と言っている。

月々の収入は妻の給料と、夫の年金・妻の年金(ともに報酬比例部分)を合わせて37万円。残っていた住宅ローンは退職金で完済したため、住居費はかからない。これだけあれば夫婦2人が暮らしていくには十分すぎるくらいだろうと思っていた。

しかし周りの人の話を聞いているうち、「貯蓄が300万円では少ないのではないか」と思い始めた。現在の貯蓄額や家計でこの先やっていけるのだろうか。幸い体は健康でまだ働ける。

家計再生コンサルタント 横山さんのアドバイス

この年代には珍しい共働きの夫婦だ。ダブルインカム時代が長いわりには貯蓄額が少ない。

Eさんが60歳で退職したのは、65歳まで働くと年金の報酬比例部分が減らされてしまうから。65歳までの間、8万円もらえる報酬比例部分が先送りになるだけならいいが、働くと3万円がただカットされて、5万円になってしまう。それがイヤだったという。妻は無職なら8万円もらえるが、働いているためもらっている年金は現在5万円。夫の8万円と合わせて、年金収入は月13万円である。

子どもたちが独身だった頃はそれぞれが毎月3万円ほど仕送りをしてくれていたらしい。だがいまは2人とも結婚して仕送りはなくなった。逆に孫が生まれてからは、4人の孫へのプレゼントや来るたびにあげる小遣いで、月々8万円(教育費)が出ていっている。これはいくら何でも多すぎだ。かわいくて仕方がないという気持ちもわかるが、孫への出費は半分の4万円に減らしてもらった。

だがそれだけでは毎月の貯蓄額が5万1000円から9万1000円に増える程度である。貯蓄を増やすには、やはり年金が満額もらえる65歳まで働くにこしたことはない。