「萌え寺」の実績

「私の宝物、見せてあげる」(コスプレイヤー=E子 撮影=Lucas)

今まで秋葉原では、住む人たちが下町文化を伝え、働く人たちが消費文化を導き、集まる人たちが趣味文化を育んできました。これらの人々が、次代の秋葉原をより魅力ある街にするために、力を合わせて取り組めることがないでしょうか。

秋葉原のあるイベントに一風変わった寺院が出展していました。東京八王子にある了法寺です。美少女フィギュアのような現代風の仏像を安置する「萌え寺」として有名で、これまで大勢の若者が参拝に訪れています。了法寺の住職によると、秋葉原でよく見かける「おたく」と呼ばれる若者たちは、とても信心深いといいます。目に見えない不思議な力を受け入れる素地があるからかもしれません。若者たちがお寺に集まるようになってから、不審者が寄り付かなくなり、治安もよくなったと地元の檀家さんたちにも評判が良いそうです。

そこで私は、信心深い「おたく」な若者、商売繁盛を願う電気街の人たち、街の治安や安全を守りたい地元住民の利害が一致し、力を合わせられるように、「秋葉原七福神」を創ろうと思い立ちました。七福神とは、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋の7柱の福の神です。江戸時代には七福神を祀る寺社を巡る「七福神巡り」が流行し、今でも正月の定番イベントとして全国で行われています。七福神は、流行に左右されることなく、いつの時代にも世代や立場を超えて受け入れられてきました。これこそ、秋葉原に住む人、働く人、集まる人たちの願いや想いをまとめて、次代の秋葉原のための協働のシンボルに成り得ると思ったのです。

ところが、「秋葉原七福神」の実現には、大きな問題がありました。秋葉原には七福神が全員そろっていなかったのです。