あなたの会社の給料は? リストラ危険度は? 業界研究のスペシャリストが280社を徹底分析。「ものづくり日本」の落日が数字でも明らかになった――。

今回の調査では、代表的企業280社を14の業界・業種に分類し、過去の財務諸表などから分析(2012年5月時点)。企業会計専門家や経営コンサルタントのアドバイスをもとに将来の経営状況を予測し、「安定性」「稼ぐ力」「リストラ余力」「給与上昇期待度」の4項目によるポイントから総合評価した。

「安定性」は、企業経営の健全さを示す。10年後に生き残っているか、衰退しているかを反映する指標だ。「稼ぐ力」では、投資に見合うだけの利益を生み出す力があるかどうかを見る。その業界が成長産業なのか、そうでないのかが表れる指標でもある。「リストラ余力」は、リストラを行わなくても企業経営を続けていく体力があるかどうかを示す指標。今後の成長が期待され、人材を積極的に採用すると予想される企業ほど値が高く、リストラされる危険が高い企業ほど値が低い。「給与上昇期待度」は、現在の業界平均と比較し、10年後の給与水準がどうなっているかを予測したものである。

総合評価トップとなったのは、「医薬品・化粧品」。ワーストとなったのが、「電機」だ。各業界の未来予測については、次項をご参照いただきたいが、10年後に持続的成長できるかどうかを判断するうえでもっとも重要なことは何か。

「企業が継続するための最低条件は、経常的な営業活動で得る資金が、人件費や税金負担などの支出を上回ること」

評価項目の選定などでアドバイスをしてくれた池田陽介氏(池田総合会計事務所所長)はいう。

つまり、現金ベースの決算書である「営業活動によるキャッシュフロー(以下、営業CF)」が黒字(入金超)であることが、企業の継続に欠かせないということ。逆にいえば、入金が出金を下回る「営業CF赤字(出金超)」は、危険シグナルであるというわけだ。