個人向け国債に「3年物固定金利型」が登場した。7月15日に発行される第1回債の利率は、税引き前で0.19%。募集の価格は額面100円につき100円なので、100万円分購入して償還まで保有すると、3年間で得られる利子は5700円(税引き後4560円)になる。償還期限10年の変動金利型と、5年の固定金利型は、それぞれ年4回の発行だが、3年物は毎月発行される。

個人向け国債が初めて登場したのは2003年3月のこと。当初はゼロ金利時代を背景に高い人気を集め、05年度には7兆2000億円が販売された。しかし、昨年度の販売額は1兆3000億円と、ピーク時の6分の1程度まで激減。金利面の魅力がほとんどなく、日本の財政赤字悪化に対する懸念が強まったためだ。

3年物国債は、償還までの期間を短くすることによって、5年物、10年物に比べて投資しやすくしている。5年物の利率は、税引き前で0.42%。購入後3年が経過した時点で売却した場合、過去4回分の利子相当額×0.8が差し引かれる。100万円分購入した場合、3年間で受け取れる利子は、税引き後で1万80円。ここから過去4回分の利子相当額×0.8を差し引くと、3360円が手元に残ることになる。これなら3年物を償還まで保有したほうが有利になる。

財務省は、個人の間接的な国債保有を、直接的な国債保有にシフトさせたがっているようだが、個人向け国債が人気を盛り返すかどうかは、償還期限が長いか短いかの問題ではない。

国、地方の長期債務残高は、この10年度末で約862兆円にも達する。日本のGDPの約1.8倍で、ユーロ危機の発端となったギリシャと比べて、はるかに深刻な状態にある。

加えて、国債の保有構造ならびに個人金融資産の年代別保有構造にも問題がある。日本国債を保有主体別比率で見ると、個人の保有比率は全体の5.3%にすぎない。これに対して最大保有者はゆうちょ銀行の22.8%、次いでかんぽの10.2%、一般保険・年金の13.5%がトップ3だ。さらに一般銀行の13.4%、公的年金が11.7%と続いている。