堅調なファストフード不調なファミレス

数少ない好調組ファーストリテイリングは年収も上昇トレンド
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数少ない好調組ファーストリテイリングは年収も上昇トレンド

年間売上高でコンビニに逆転されたことに象徴されるように、百貨店の不調は歴然。北海道の丸井今井の経営破綻もあった。各社は店舗の閉店や営業時間の短縮などリストラを進めて生き残りに必死。高島屋とH2Oリテイリング(阪急阪神百貨店)は、2011年までの経営統合をめざして資本業務提携に動いている。

暗い話題ばかりの百貨店業界だが、実は業界を代表する高島屋、それに三越伊勢丹HD傘下の伊勢丹の従業員平均年間給与は毎年アップ。ここ数年で、両社とも40万円程度の増額になっている。近鉄百貨店や松屋なども同様だ。しかも、人件費総額は減少させながらである。いうまでもなく、その構図が成立している要因は人員減。各百貨店は人員を減らしながらも効率化を図ることで、一人当たり平均年収増を実現してきたわけだ。今春は定期定昇の維持すら少数の会社にとどまると見られている中で、高島屋は賃上げ(ベースアップ)も実施の方向だ。

従業員の平均年間給与が563万円のイオン、578万円のイトーヨーカ堂(セブン&アイHD傘下)を頂点とする総合スーパーの不調も深刻度を増すばかり。

対照的なのが、ユニクロを展開するファーストリテイリング。数少ない好調組の1社で、09年8月期の配当金増額(130円→150円)も打ち出しており、30歳で600万円前後と推定される年収のアップを期待している社員も多いのではないだろうか。同社が発表している年間人件費は769億円(前期)。ここ2年で約250億円の増額。同社は2000人程度の社員化も実施しており、社員の懐具合は、会社の経営成績に直結していることを改めて認識させられる。

堅調なファストフード、不調なファミレスがはっきりしてきた外食。不況の進行とともにM&Aが増加することは必至なだけに“親子”関係も気になるところ。これまで積極的な買収を繰り広げてきたゼンショー(牛丼「すき家」)。その平均年収542万円は、子会社化したココスジャパン(ファミレス「ココス」)をおよそ40万円下回っている。

※年収はいずれもユーレット(http://www.ullet.com/)のデータをもとに作成。純利益予想は3月25日時点の決算短信、業績予想の修正より。

(ライヴ・アート=図版作成)