高校生にしかできないことを

キャンドルナイト、点灯。

内陸の花巻へとつながるJR釜石線は、北上高地を上るルートを取る。釜石市西部の甲子町はその沿線だ。今は多くの仮設住宅が建つエリアでもある。昨年12月15日土曜日、甲子町の「こすもす公園」で小野寺さんと仲間たちは、イベントを行った。地元の新聞がこう伝えている。

《子どもらの未来を照らす「希望の光」——釜石市内の高校生が企画した「キャンドルナイト~釜石の高校生がつくる新しい光」は、15日、甲子町洞泉のこすもす公園で開かれた。ゲームや軽食販売もあり、多くの子どもたちが楽しんだ。被災3県の高校生を対象にこの夏行われた米国研修「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」に参加した釜石商工と釜石高の生徒12人が実行委員会を組織。震災で遊び場がなくなった子どもたちに楽しんでほしいとイベントを企画し、同研修の仲間18人が県内陸部や沿岸各地から応援に駆け付けた。辺りが暗くなると、公園内の約1500個のキャンドルに点灯。トナカイの顔や長靴の形に並べたキャンドル、市内の幼稚園や保育園児180人に絵を描いてもらった白い紙袋にキャンドルを入れた灯ろうもあり、あたたかな光が一足早いクリスマスムードを盛り上げた》(2012年12月19日付け「釜石新聞」)

キャンドルナイトの代表を担ったのが、釜石商工高2年、将来の志望は幼稚園の先生という小野寺未来さんだ。小野寺さん、キャンドルナイトをやろうと考えたきっかけは何ですか。

「(TOMODACHI~参加者の)釜石支部の話し合いのとき、地域貢献のために何がしたいかって話になって、みんなから『イベントで街を盛り上げたい』という意見がありました。具体的には何をするのかなかなか決まらなかったんですけど、堀田さんから藤井さんという方を紹介していただき、夏にキャンドルナイトをした写真を見せていただきました。私たちは、その写真に感動して、余っているキャンドルで高校生にしかできない、『キャンドルナイト』をしようと思いました」

ソフトバンク復興支援室の堀田真代さんに聞く。

「藤井さんは釜石の仮設住宅が多い甲子地区で、自らの土地を提供して公園を作ったNPOの方です。もともと、こすもすというレストランを開いていらっしゃって、そこにいろいろな企業&NPOの協力で遊具などを入れてやっておられます。心温まる方で、生徒募集の段階からお世話になっており、今では生徒を市長に会わせたり、高校生の成長に良いと思うことをどんどん地元でやって下さっています」

藤井さん、堀田さんら、大人たちのサポートも確かにあったが、イベントを当事者として動かしていったのは高校生たちだ。小野寺さん、準備していく間、大変だったことは何ですか。