部下は上司を選べない。運悪く、無能にしか見えない人の下につけばストレスはたまる一方だろう。とはいえ、彼らを上手に操縦する方法、ちゃんとあるんです。

会社を辞める前に、やれることはたくさんある

誰でも上司について愚痴を言うことがある。だが、日ごろのありふれた不満とストレスのたまるフラストレーションが違うのと同じで、欠点のあるマネジャーと無能なマネジャーにも明確な違いがある。後者に対処するのは場合によっては厳しく大変だ。だが、正しい考え方といくつかの具体的な方法をもってすれば、何とかやっていけるだけでなく、大きな成功をおさめることもできる。

「ほとんどの人が無能な上司、少なくとも役に立たない上司についた経験を持っている」と、テレオス・リーダーシップ研究所の創立者で 『Becoming a Resonant Leader: Develop Your Emotional Intelligence,Renew Your Relationships,Sustain Your Effectiveness』の共著者、アニー・マッキーは言う。マネジャーの能力不足という問題は残念ながらよくあることだ。それは多くの会社が間違った理由で社員を昇進させるからだと、マッキーは言う。成果を出したとか、適切な専門的能力を持っているといった理由で昇進した人は、マネジャーに必要不可欠な対人能力を持っていないことが多い。

ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院の経営学教授で、『Leading Up: How to Lead Your Boss So You Both Win』(邦訳『できる人ほど上司を使う』)の著者、マイケル・ユシームは、上司が専門的能力を欠いていようがマネジャーとしての能力を欠いていようが、結果は同じだと言う。悪い上司は部下の意欲を奪い、生産性を低下させ、ときには職場から逃げ出したいと思わせるのだ、と。会社を辞めるのも1つの選択肢ではあるが、その前に、次の方策を考えてみよう。