手柄をあげても嫉妬されないようにする

【TECHNIQUE】自分の仕事と役割を社内に知ってもらう
ロエベ 
PR&Advertisingアドバイザー 
平塚ユカリ氏

嫉妬は、お互いの業務への理解が浅く各人同士の仕事の関連性がよく見えないときに、生まれるのではないでしょうか。

私は広報業務を担当しています。仕事を円滑に進めるために、本社の他部門、各店舗など社内の協力が欠かせません。しかし、同じ会社だから協力が得られて当然と考えてはいけません。

例えば雑誌でロエベの商品が紹介されるとき、広報は店舗から商品を借りて撮影することがあります。しかし、お店にとっては商品が傷ついてしまう恐れもあり必ずしも歓迎することではありません。

商品はお店にとって何より大切。まず私たち広報が、それを深く認識することが重要です。そのうえで商品を媒介に掲載することで来客へつなげたい、と相談し理解を得ます。私たちにも売り上げアップのお手伝いをさせてください、というスタンスです。このように説明をすると、ありがたいことに、お店のスタッフも私たちの役割を理解し協力してくれます。

チームとして互いの役割を理解し、成功を喜び合えれば、手柄も皆のものとなり嫉妬は生まれないと思います。そのためにも日頃から広報部門以外の人々に自分たちの立場や業務内容を知ってもらう、いわば社内でのPRが大切になります。

以前私は、同じ会社なのに自分と他のメンバーの考えが一致しないことに悩むことがありました。しかし「他人と自分は違って当たり前」という家族の一言で「しょうがないんだ」と吹っ切れました。前向きに“しょうがない”と思うことで気が楽になりました。同じ会社でも担当部署が違えば考え方も違って当然です。

例えば、自社製品をPRの意味で個人的に使う場合、広報の私は相手の印象に残るよう変わったデザインのアイテムを持ち歩きますが、MD(買い付け担当)から、目立つ商品を持つより売れ筋のシンプルなものを持ち歩いてPRしてほしいと言われたことがありました。

お互いがプロフェッショナルであればあるほど自分の役割に忠実になり違う考え方になるもの。違いを補う工夫として具体的に効果を数字で表現することが大切と感じています。数字は他部門との共通指標の役割を果たしてくれるからです。

広報も営業職と同様、雑誌の掲載率など達成すべき数字を課せられていますが、その事実はあまり知られていません。ですから私は社内の会議などで広報部門の立場や仕事を数字とともに伝え、役割を社内の人に知ってもらうよう努めました。

言葉を重ねて理解し合う努力を尽くせばプロとして手柄を喜び合える、嫉妬と無縁の雰囲気が育まれると信じています。