1週間で、渋る商談相手の背中を押す

【TECHNIQUE】「またか」と思われるほどしつこく攻めよ
福嶋宏盛氏

このようなケースでは優れた提案を一度持っていき、後で結論を教えてくださいというアプローチでは間に合いません。1週間のうちに何回相手とコンタクトできるかが勝負です。

夜討ち朝駆けという言葉がありますが、そのような頻度で会いに行くことです。同時に、電話やメールでの連絡もこまめに入れましょう。こちらの状況が少しでも変化したら逐一報告を入れるのです。

「ここまで社内を説得できました。いかがでしょうか?」

日興証券(現日興コーディアル証券)で営業マンをしていた私の経験からすれば、「またコイツか」と思われたらしめたもの。しつこくすると嫌がられるのではないかと心配する人もいるでしょう。しかし、そう思っているのは実は営業マンだけ。「コイツは熱心だな」と思わせれば、相手は話を聞いてくれるものです。

以上を大前提としたうえで、まずは相手が渋る原因を探らなければなりません。まず筆頭にあがるのが価格。続いて納期やロットなどの諸条件があります。担当者との相性の問題ということもあるでしょう。

価格が渋る原因になっている場合、それを把握するのは簡単です。

「うちはこの金額しか出せませんが、他社の動向はいかがですか?」

率直にそう聞けば、たいてい相手は教えてくれます。他社に価格で負けているのなら、さらに値段を下げるか、あるいは他の条件で攻めていくことになります。後者の場合は「価格は下げられませんが、その代わり……」という形で配送や支払い条件などで、他社より有利な条件を提示することを考えます。

ただ、価格以外が渋る原因になっている場合、直接聞いてもなかなか教えてくれません。このようなときは単刀直入に質問するのではなく、相手に話をさせながら原因を探っていくことになります。

人は積極的に話をするタイプと、話をしたがらないタイプの2種類います。前者であれば必ず愚痴や文句が出てきますから、それを聞いてあげればいい。その中には必ずヒントとなるキーワードが出てくるので、それを拾いましょう。

話をしたがらない人の場合には、担当者自身が嫌われているケースや、そもそも交渉の内容自体をよく把握していないケースなどがあります。このようなときは直球勝負でズバリ「どこを変えればうちと付き合ってくれますか?」と聞くしかありません。