半径2キロメートルの缶蹴り

宮古は鮭の街。2012年1月に宮古駅前で行われていた復興イベント「宮古サーモンフェスタ」の光景。

久保田博典さん(宮古商業高校2年生)は、宮古で居酒屋のオーナー、もしくは北上か花巻で喫茶店のオーナーをやってみたい。久保田さんは県境を越えて開業することは考えていない?

「なんていうか、ずっと地元の人に愛されて、そんな大きくなくてもいいから、楽しく生きたいなって思って。そうなると、気心が知れている同郷のほうがいいのかなと。ただ、気心が知れていると言いつつも、なんかどこか違うっていうのが欲しいんです。難しいな、なんて言えばいいのかな……。あまりにも同じすぎると、つまらないんですよ。わかるけども『あ、そういう考え方するんだ?』っていうのが面白い。つかみどころはあるんだけれども、つかんだ瞬間、知っていたつもりが知らなかったっていう、その感覚がすごい面白いなって思う。ちょっと違いがあるみたいな、そういうのが面白い」

その「通じるけど違う面白さ」を、久保田さんはいつぐらいから自覚していましたか。

「幼稚園、小学校と、自分はすっごいアホだったんです(笑)。なんか、周りと違うことがやりたくて。とことん同じってのが嫌で。だから、みんなの考えないようなことを考えるようになってきたんです。友だちが考えていたことと違うと、なんか特別なかんじがして、それだけで嬉しかったんです。ちっちゃい頃はいろんな遊びを考えて、半径2キロメートルくらいの広範囲で缶蹴りとかやってました(笑)。『え、それ、面白いね』みたいなことを言われると、余計嬉しくて」

久保田さん、大人から仕事の話を聞いてみたいですか。

「はい。営業の人の話が聞きたいです。営業の人は、相手と対話するときに、相手の感情の機微をどう読み取るかみたいなこと、ちゃんと考えていらっしゃると思うんですよ。そういうときの話のうまい持って行き方というか、そういうテクニック的なかんじのことも聞いてみたいです。喫茶店とかだと、話を聞くっていう場が多いかもしれないですけど、営業の人の、人と話をする側の意見を聞いてみたいなと。ぼくがもともと、話をするっていうのがすごい好きで、そういうツールにけっこう手を出してきたんです。SNSとかもけっこうやってきて。そこで同い歳だけじゃなくて、30代の大人の人とも同じような次元の話をしたりとか。それによって、いろんな人の影響を受けてます。周りの高校生よりは、年上の方と話す機会を意識的に広げてきたかんじです」

久保田さんが大人の側になったとき、「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」のような支援をして、高校生たちに影響を与えたいですか。

「ぼくがお金を出せなくても、こうやって話しているみたいに、情報発信としてできるのかなとは思ってます。『1人は10人に影響与える』みたいな話を向こうで聞いたんで。『TOMODACHI~』みたいなものに300人が行って戻って来たら、日本にいる3000人の人に伝わる。そういうことを続けていけば、日本全体として変わっていくんじゃないかと思います」

続けていくのか、どうか。2012年12月6日時点で、ソフトバンクはこのプログラムを継続実施するか否かを発表していない。この日付は、「TOMODACHI~」に参加した高校生300人のうち4人が、初めて直接孫正義に会った日だ。その1人に話を聞こう。