水曜日・木曜日は週なかばの折り返しの日。ここでアフターファイブに行われる勉強会や交流会などに参加し、社会人としての視野を広げたり、人脈形成に役立てている人は多い。とくに水曜日は定時退社日に指定されていることも多く、終業後の時間を社内外の会合にあてる人が目立つ。

JTB法人東京の久保田さんは、水曜日の終業後を利用して「事業開発カフェ」と称する社員の育成会を開催している。

「新しい事業をみんなで考える、いわばブレストタイムです。2010年の4月から始めて現在10名弱が参加していますが、こちらからの指名ではなく、あくまでも自主参加でお願いしています。事業開発という仕事柄、自分で考えて動くことが大事ですし、意欲ある人を発掘する場だと思っているので」

その久保田さんは最近、木曜夜に仕事を終えてから大学へ向かい、教壇に立つという経験をした。昨年、母校・明治大学商学部の学生を対象にしたマーケティングのクラスで教えていたのだ。

「学生にはグループワークで当社に対する事業提案をしてもらいました。するとみんな積極的で、驚くほどレベルの高いものを出してくるんです。そこで内容を実際に社長の前でプレゼンしてもらったところ非常に好評で、それをもとにした商品開発をすることになりました」

内容はスマートフォン向けのアプリだそうで、こうした若者ならではの発想を取り込めたのも、木曜夜の交流の産物といえるだろう。

一方、カシオで登山用時計の製品開発に携わっている牛山さんは、自らも土日を利用して山に登り、著名登山家も参加する山岳会へ加盟している。木曜の夜はその山岳会の講習会や、交流会へと出向くことが多い。山登りをする人は土曜の朝早くから山に向かうので、金曜日は早めに帰宅する傾向がある。そこでこうした会合が木曜になるようだ。

「山岳会に入ってからは周囲に登山用時計の開発に携わっていることを伝え、製品についての意見をもらったり、知り合った登山家に新製品のプロモーションに協力してもらったこともあります。プライベートで参加しているので残業代はつかないのですが(笑)、仕事へのプラス効果は計り知れないですね」

その牛山さんが山岳会に入会した2年後にリリースされた登山用時計、「プロトレック」の2007年モデルは大ヒット商品となった。既存の時計を実際にプロの登山家に着けてもらい、使用感などのアドバイスを受けて開発した製品である。机の前にいるだけでは見つからなかった開発の勘所が、木曜の社外交流から生み出された結果といえるだろう。

久保田達之助 
JTB法人東京 事業開発部 事業開発部長 

1989年、明治大学政治経済学部卒業後、JTB入社。虎ノ門支店、コミュニケーション事業部を経て、2010年から現職。化粧品メーカーと共同開発した、旅行用の殺菌ジェル「いつでもどこでもハンドジェル」などがヒット。

 

牛山和人 
カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部 モジュール企画室 

1970年、東京生まれ。95年、玉川大学工学部電子工学科卒業後、カシオ計算機入社。時計事業部に配属、2001年から登山用時計・プロトレックのモジュール企画を担当。「土日は登山をするので、平日夜は家族と過ごす努力をします」。

(澁谷高晴、永井 浩=人物撮影)
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