「就業規則」や「服務規律」の内容を確認すべき

国民が政治活動に参加することは憲法21条で一般的に守られている。

民間企業の従業員が業務時間外、職場外で政治活動を行おうと基本的には自由である。もし制限を受けるとすれば、「就業規則」や「服務規律」の存在だ。心配なら会社で何が禁止されているか確認しておくといいだろう。しかし、会社外・勤務時間外の政治活動を一切禁止することは、私生活に過度に干渉するもので、無効となることがある。

ところで、具体的に何が政治活動に当たるか定義した会社はほとんどないと思われる。そもそも反原発デモに参加することは、政治活動といえるのだろうか。そこで参考になるのが、実際に政治活動に一定の制限を課している公務員の規則だ。

地方公務員法36条2項は「職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもって、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもって、(中略)政治的行為をしてはならない」と規定する。

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デモ参加「OK」の条件は、職種によってこんなに違う

地方公務員でもこの程度の規制なので、民間企業が「政治的行為」を規定するとすれば、これ以上に厳しくはできないと考えるのが一般的だ。

では国家公務員はどうか。人事院規則では、国家公務員は政治的行為ができないとしている。その前提となる政治的目的の中に、「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること」とある。しかし、この定義を広く解釈すると地球温暖化防止や被災者支援強化、拉致被害者救出促進などの運動もすべて対象になってしまう。

つい最近でも、大阪市が文楽協会に補助金を出すべきかどうか揉めたが、その際、「文楽を救おう」と運動したからといって、市政に反対する政治運動とはいえないだろう。デモの目的として「原発反対、内閣打倒」などと叫んでいるなら、特定政党への不支持を表明する政治活動になりうるが、純粋な反原発デモ自体は政治活動に当たらないといえる。