D4DR社長/コンサルタント 藤元健太郎(ふじもと・けんたろう)●1967年東京都生まれ。1991年電気通信大学電気通信学部卒。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。日本初のCGMサイト関心空間社取締役、経済産業省産業構造審議会情報経済分科会委員、青山学院大学ExectiveMBA非常勤講師などを歴任。

ロードサイドビジネスとインターネットビジネス

1993年に日本で商用インターネットサービスがスタートしてから来年は20年である。もう20年も経ったという意味では「インターネットという最新技術」というフレーズはさすがに似合わないだろう。例えば「もはや戦後ではないという」言葉が語られたのは1956年、実は戦後から11年しか経っていないわけで、倍近い20年経っているインターネットが世の中をがらりと変えたとしてもまったく不思議でもなんでもない。

日本でモータリゼーションがスタートしたのは東京オリンピック直後の1964年頃と言われているが、20年後の1984年頃にはすでに郊外の生活は車無しでは考えられないものになっていた。すかいらーくがロードサイド型ファミリーレストランとして一号店を出したのも1970年、モータリゼーションというテクノロジーは小売りや外食の新しい業態を次々と生み出し、GMS、大型SC、コンビニ、カテゴリーキラーなど様々な業態が生みだされ、その影で多くの既存事業者が市場から消えていった。

しかし日本中の駅前商店街をシャッター通りにしたのは、生活者が車を大好きだったからではなく、より便利で、お得さを実感でき、快適な買い物が結果としてロードサイド業態を選択することになっただけである。そう考えればもはやデジタルテクノロジーを特別視する必要も無いだろう。これまでと同じく既存業態を脅かす新しい業態が誕生し、既存業態は生存を賭けて適応していくのみである。