負の感情に支配されない力

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「悩む」の発生メカニズム

私たちは日々、いろいろなことを考えて暮らしている。ランチは何にしようとか、取るに足らないことが大半だが、特定のテーマについて考え、解を導き出す作業を行って生きている。

ところが、平穏な日々の中ではサクサクと流れていた「考える」は、あるとき突然停滞し、解を導き出せなくなることがある。会社の倒産といった重大事に直面した場合はもちろん、他人には些細に見えることでさえも、停滞は起こる。早く解決したい、でもどうしていいかわからない……。思考の迷路に入りこんだ私たちは、強いストレス(負の感情)を感じることになる。その状態が「悩む」である。

悩まない人生などない。あったとしても恐らく豊かなものではない。人は悩むことを通じて多くの知恵を獲得し、成長していくものだからである。

が、一方で、悩みすぎることが人を不幸にすることも私たちは知っている。心を病む人もいれば、時には命を絶つ人さえいる。天が与えてくれた「考える力」が人を不幸にするという皮肉が、私たちの周囲にはあふれているのだ。

本稿の目的は、「悩む」の本質を理解していただくと同時に、負の感情に支配されないための「技術」を身につけていただくことにある。「日本型幸福モデル」が崩壊し、信じてきた幸福像と現実との狭間で、誰もが大きな悩みに直面する可能性が高い現在、その技術は、「生きる力」としてとても大きな意味を持っているはずである。