今、個人向け社債が注目を集めている。2012年1~9月の発行額は1兆1701億円で前年同期より8割増加。預貯金や国債の金利が低く、株価も低迷しているため、個人投資家が相対的に利回りの高い社債に注目していると思われる。

そもそも社債とは、事業会社が資金調達を目的に発行する債券のこと。発行時に返済期日(償還期日)や金利(利率)が決められ、購入後は定期的に利子が支払われ、満期時には額面金額が返済される。固定金利商品であり、満期まで金利が変わらないという特徴もある。

一般的に日本の企業が発行する社債は、額面が1億円のものが主流となっている。これを個人投資家でも購入しやすいよう、額面金額を10万~100万円など小口化して販売するものが個人向け社債だ。償還までの期間も、通常の社債が2年から30年などさまざまであるのに対し、個人向け社債は3~5年程度と短いものが多い。

社債の金利は、発行する企業の信用度や発行時の金利情勢によって異なるが、国債に比べると信用リスクが高いぶん、国債より高く設定される。たとえば、12年10月15日発行の個人向け復興国債「固定5年(第28回)」の利率は0.17%(税引き前)となっている。一方、9月24日発行「ソフトバンク株式会社第39回無担保社債」の場合、満期までの期間は「固定5年」と同じく5年だが、利率は税引き前で0.74%だ。

個人向け社債は証券会社で購入できるが、同じ会社の社債をいつでも同じ条件で購入できるわけではない。発行も不定期だ。また、社債を発行する企業に代わって募集や売り出しなどの業務を行う主幹事証券が、発行額の8割程度を抑えてしまう。そのため、個人投資家が購入するには、主幹事証券を務めることの多い野村証券やSMBC日興証券、大和証券、みずほ証券に口座を開いておく必要がある。ちなみに大手証券では、株式を取引する場合には口座管理料が必要だが、債券の取引には口座管理料はかからない。