ソフトバンクが求めるのは、高い志を持ち、変化を恐れないで新しいものを次々と生み出していける人材だ。

ソフトバンク 人事部長
青野史寛氏

確かに通信業、インフラ業は安定企業の代表選手だが、電力会社やガス会社、公務員と当社を併願していると聞くと、少しがっかりしてしまう。大学を出て起業するか、ソフトバンクに入るかで迷うような人に来てほしい。09年6月に発表した「新30年ビジョン」では30年後に時価総額200兆円、グループ企業を5000社に拡大する目標を掲げている。そうなると5000人の経営者が必要になり、入社する社員全員が社長候補になるといってもいい。

そうした狙いもあって、通常の選考以外に「NO.1採用」と「学生起業家採用」の2つを実施している。

NO.1採用はいきなり面接から始まる。学生時代に勝ち取った、我こそは1番と思うものを5分間でプレゼンしてもらう。NO.1以外は死を意味し、事業でトップを取ることが使命というソフトバンクイズムにちなんだものであり、NO.1を誇る分野は何でもいい。

スポーツや勉強はもちろん、ナンパは誰にも負けない、飲み会を仕切らせたら1番などでもいい。NO.1になるために命がけで熱中し、そこで獲得した経験なり、プロセスを聞いて評価しようというものだ。2009年は約550人の応募があり、2010年は7人が入社する。

学生起業家採用は、事業家を夢見て実践し、事業の難しさをわかっている人に向けてソフトバンクがその場を提供します、という形で採用につなげる。2010年は2人が入社する。

当社が今最も力を入れているのが将来のソフトバンクを担う経営者の養成だ。社長の孫は、人生50年計画の中で、50代までに事業を完成し、60代で後継者にバトンを渡すと宣言している。そのため、後継者を内外から募集し、育成する「ソフトバンクアカデミア」を立ち上げた。60代で後継者にバトンを渡すとすれば、早ければ7年後、遅くても17年後になる。(※雑誌掲載当時)

気力、体力が充実した40代後半の人に任せるとなると、現在40歳前後の人が対象になる。17年後だとすれば、下限が20代、新卒の社員も含めた全員が対象になる。