ライフネット生命保険副社長 岩瀬大輔(いわせ・だいすけ) 
1976年、埼玉県生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中に司法試験に合格。ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパンを経て、ハーバード経営大学院に留学。日本人では4人目となる上位5%の優秀な成績(べイカー・スカラー)を収める。卒業後、出口治明とともに準備会社の設立に参画し、副社長に。 
私は新卒でボストン・コンサルティング・グループに入り、投資ファンド、米ハーバード大学への留学などを経て、ネット専業保険会社を社長の出口治明とともに立ち上げた。
これまでクライアント企業および自社の戦略立案にかかわってきて、経営戦略において重要なことは、いかにして他社と差別化した商品やサービスを顧客に提供するかだと実感している。
差別化というと小手先で違いを出すというイメージを持っている人がいるかもしれないが、それは違う。本来、差別化が意味するのは、本質的なバリューが異なる商品やサービスの提供である。自分たちが何にフォーカスし、何を捨てるのかという「絞り込み」をすることが必要なのだ。
それには、体系的に物事を考えるためのツール「フレームワーク」を活用することが有効だ。しかし、フレームワークとして紹介されているものは数多いが、日々の仕事で使えるものはごく一部である。私がやってきた仕事の内容を例に、使えるフレームワークを紹介していこう。

もっともシンプルなフレームワークの1つに3C分析がある。これは「自社(Company)」「競合(Competitor)」「顧客(Customer)」という3つの視点から成功要因を見つけ出し、自社の戦略に活かすフレームワークだ。ひとことでいえば、「スイートスポット」を見つけるために使うものである。

まず、自分たちができること(Company)を円で描く。次に競合ができること(Competitor)、お客さまが望んでいること(Customer)をそれぞれ円に描く。そのうち、自分たちができて、競合ができなくて、お客さまが望んでいることが重なる領域(色をつけた部分)が、自社のスイートスポット、つまり注力すべき分野である。