リーマン・ショックでは約7.3%減

PANA=写真

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トヨタユーザーならずとも、昨年来のリコール問題に衝撃を受けた人は少なくない。日本国内で、トヨタへの非難・批判を上回るほど“陰謀説”が広汎に語られたのは、トヨタが自信喪失気味の日本人の数少ない拠りどころだったことと同時に、極めつきによかったブランドイメージとの大きな落差ゆえだろう。

トヨタがこの問題で被った損失を、「トヨタという優良ブランドの価値の下落」として金額に表せないだろうか。

中央大学ビジネススクール大学院戦略経営研究科の田中洋教授によれば、企業ブランドの価値を金額で測るという発想は、もともとM&Aの際に買収先の資産価値を算出するために考案されたが、資産をより大きく見せて買収防止を図る目的もあったという。算出の手法は様々だ。

「当該企業の発行株式の時価総額から純資産の簿価を差し引く単純なやり方が一つある。さらに、ブランド育成にかかった金額や、同種のブランドを市場で買うのにいくらかかるかを試算する方法もある」(田中教授)

それぞれ一長一短あるが、現在多く提案されているのは、当該ブランドが将来もたらすであろう超過収益、あるいは正味利益を推計し、それを現在の価値に換算する手法である。

ブランドに関するコンサルティング会社、インターブランド(本社米国、以下IB)の手法はその典型だ。同社は毎年9月にグローバルに事業展開している各国企業のブランド価値のランキングを作成し、世界の産業界の注目を集めている。

2009年9月のランキングでは、ブランド価値世界一はコカ・コーラで、687億3400万米ドル(約6兆3235億円)。以下IBM、マイクロソフト、GE、ノキア、マクドナルド、グーグルと続き、トヨタは8位で約313億3000万米ドル(約2兆8824億円)。ちなみにホンダは18位(前年20位)、ソニーは29位(同25位)にランクインしている。

同社は毎年1月にも日本企業30社のブランド価値のランキングを同じ基準で算出している。今年1月の発表分については、トヨタは09年1月の315億7000万米ドルに続き1位を保ったが、305億2900万米ドルと約3%、昨年9月より約2.6%減少した。