景気低迷で暗いニュースが飛び交う中、ものごとがうまく運ばないと嘆いている人は多い。そんな人々に共通しているのは、うまくいかないことを他人や環境のせいにしていることだ。私はこのような考え方を「他責」と呼んでいる。

他責の人は何でも人のせいにすることで前向きな努力を放棄してしまい、事態を改善することができない。無意識のうちに責任転嫁し、守りに入ってしまっている。苦労を背負い込み、自分は苦労でがんじがらめになっていると錯覚している人である。

しかし、これは自分の錯覚にすぎない。人は肯定的錯覚と否定的錯覚のどちらかによって生きている。いつも否定的錯覚をしている人は「自分はだめかも」「できないかも」と思うことで現実逃避しようとする。

人間とは不思議なもので、否定的なことばかり口にしていると弱気な心ができ、それが脳にインプットされて、悪い予感が現実になってしまう。「無理かも」と脳に問いかけると、想像による条件づけで記憶してしまうのだ。

逆に肯定的錯覚をしている人は、常に前向きだ。とうてい無理だと思われることでも「自分ならできるかも」と肯定的に考える。すると、それが脳にインプットされて、いつの間にか実現できてしまう。小さな町工場だったホンダを「世界のホンダ」にした本田宗一郎や松下幸之助などは、超ポジティブ人間の最もよい例だ。