金融商品の個人向け営業は、顧客の人生に深く関わることが多いため、経験が長い人ほど有利と思われがちだ。しかし2009年、三井住友銀行東阪奈ブロックでは営業経験2年の女性行員がブロックのファイナンシャルコンサルタントとしてトップ3の営業成績を挙げた。

三井住友銀行
資産運用グループ 奈良支店担当
菊田奈々

奈良県出身。関西大学卒。2006年入行後、奈良支店配属。「仕事はめちゃ楽しい」と話す。

菊田奈々さんが主に担当しているのは奈良市内の富裕層。有名寺院の住職などを含む、顧客約450人に投資信託や個人年金保険、医療保険などを販売している。学生時代、カウンセラー志望だった菊田さんは、現在でも金融商品を通じて顧客の相談相手になりたいという思いがあるという。

「とにかく、お客様との面談に時間をかけます。お一人に2時間かけることも珍しくありません。次の約束が気になると会話に集中できないので、腕時計もしません。だからアポは1日に3件くらいです」と菊田さん。しかも面談中、商品を強く勧めることはほとんどしないという。

「無駄話がほとんどです。特に初回の訪問では『何か売りに来た』と思われると信頼されないので、商品の話はできるだけしません。2時間ずっと世間話なんてことも。玄関先の自転車を見て『お孫さんですか?』と聞いたり、部屋の家族写真をチェックしたり、小さなきっかけから会話を膨らませます」

一見、無駄話のように思える長い面談が菊田さんの営業のポイントだが、事前にそれぞれの顧客がどんな商品が必要なのかというシミュレーションは欠かさない。

「営業ですから『売る』ことを忘れてしまっては、本当にただの無駄話になってしまう。お客様と話す中で『体の調子が悪い』『うちの嫁が~』などの愚痴をこぼされるようになったら、信頼してもらえたと考えます。悩みを打ち明けられて初めて、解決方法として商品を勧めることができる。体調の話題や家族の問題など、保険などの契約につながることも多いですから、常に準備は怠らないようにしています。お客様に何をお勧めしようかと考えて、夢に見てしまうこともあります」と笑う。