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外務大臣 玄葉光一郎(げんば・こういちろう)
1964年、福島県生まれ。87年上智大学卒業後、松下政経塾に入塾。91年福島県議会議員に当選。93年衆議院初当選。新党さきがけに入党。96年民主党結党に参加。2011年9月より、外務大臣。


 

26歳で福島県議。1993年に衆議院初当選。96年には新党さきがけを離党して民主党結成に参加した。松下政経塾出身の純粋培養。民主党サラブレッドの象徴的存在だ。菅政権で政調会長に起用され初入閣も果たす。

愛読書は江戸時代の儒学者・佐藤一斎の『言志四録』だ。その中の一節「大臣の職は大綱を統べるのみ」がお気に入り。意味は「大臣の仕事は物事の流れをおさえて大方針を示すこと」。次に「日常の瑣事はいつも通りにやればいい」と続く。専門分野は役人に任せるということ。菅政権が政治主導の名のもとに、細かい指示を出した経緯については「政治主導の履き違え」と身内批判も憚らない。したがって、役人には至極評判がいい。

演説は立て板に水。受け答えは冷静で、記者の挑発に乗らない。立ち居振る舞いも紳士的で洗練されている。他の民主党議員に多い目立ちたがり屋と違い、スタンドプレーをしない。「成果重視の実のある外交」がモットーだ。

ところが、言葉に力がない。言葉数は多いが、響かない。役人答弁の域を出ないのだ。反発強まる米軍輸送機オスプレイの配備問題でも、役人に言われた通り「安全性への懸念を払しょくするために何ができるか考えている」と繰り返す。「具体策は何か」と問われれば「言う時期ではない」と逃げる。

自分でも気になったのか「アメリカにものを言ってこなかったと疑念をもたれているが、激しいやりとりをしてきた」と会見でアピール。外務省幹部は「大臣が外交努力をすべて話すべきではない」とご満悦だ。しかし、それは役人の都合。先頭に立ってアメリカと渡り合う姿を国民にアピールするのも政治家の仕事ではないか。

今のままでは存在感は高まらない。平時の無難な「お神輿リーダー」だ。

(PANA=写真)
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