家計簿をつける人は、お金を貯める人にはなれても、お金を増やす人にはなれない。

お金というものは、その人の考えていることを素直に反映し、その人の考えが目に見える形となって実現していく。

つまり、家計簿の中に細かく1円、10円を記録し、その1円、10円にこだわる人のところには1円、10円が集まってくる。しかし、100万円や1000万円、ましてや1億円という単位のお金はなかなか集まってこないのである。

人の脳はじつに単純なものだ。いくつものことを同時に考えることはできないし、ましてや矛盾することの両方に注意を払うことなどできない。だから、ことお金に関して、自分はどのケタの数字にこだわる人なのかを決めておきたい。

たとえば毎月の生活費をあと6000円切り詰めたいと思えば、毎日200円の節約にこだわるわけだし、それが家計に必要なことであればそれも良い。しかし、その小さな節約に明け暮れる生活の末に1000万円単位のことを実現することはとうていできない。1日200円の節約で月に6000円、1年間で7万2000円、30年でも216万円。せいぜい小さな自動車を買える程度のことなのだ。

なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?
[著]北川邦弘(プレジデント社)

もし、数十年後に数千万円、あるいは億単位のことを実現したいのなら(たとえばマンション購入、日本脱出、アーリーリタイアなど)、毎日200円の節約を優先していてはいけない。それでは毎月が赤字になり、生活費が収入の中に収まらなくなってしまうかもしないが、そんなことで悩んではいけないのだ。

むしろ、どうしたらもっと稼げる人間になれるのだろうか? そのことを必死に考えてみよう。そのために得られる機会にはどんどん顔を出そう。たとえば、成功している人たちに会う、セミナーや勉強会、交流会に出る、あるいは本を読む。どれも小銭を気にしていてはできないことばかりだ。

でも、「チリも積もれば山となるという話もあるじゃないか?1円、10円を粗末にしていたら1000万円も手にできないだろう」という反論もあるだろう。ごもっともである。1円、10円を無視してはいけない。お金として大事にする気持ちは金額の多寡にかかわらず同じである。ただ違うのは、その1円が1000万円のための1円である!という1000万倍思考ができているか、いないかだ。

ゴールとしてイメージする金額に少しでも近づこうとして、人は行動するものだ。だから、お金持ちになりたいと思う人は1円、10円にこだわるような家計簿をつけないで欲しい。自分の脳の中にある電卓の桁数を1000万円に設定してほしいのだ。

そうはいっても家計が毎月赤字ではうまくいかない。

私がお金のプロの立場でお客様にすすめているのは、「通帳による一瞬チェック」だ。毎月月末の金額が減っていれば赤字、増えていれば黒字。この程度のチェックで家計をコントロールできたら簡単で手軽ではないだろうか?

家計簿をつける時間を、自分がもっと稼げる家計にするための学習や鍛錬の時間にあてたら、収入もグンと増えていくことだろう。