安全を重視する女性は記憶力が優れ狩りをする男性は失敗を忘れる

どこの家庭でも、妻は自分の子供を母校や有名校に入れたがる傾向があるが、「子供の適性を考えると向いていないのではないか」「授業料が高すぎる」などの理由で、夫と意見が食い違うこともしばしば。なぜ妻は、母校や有名校にそれほどこだわるのだろう?

また、志望校問題で夫婦の溝をなくすためにはどうしたらよいのだろう?

小林先生は、「これは仮説ですが」と前置きしながらも、「女性が自分の子供を母校や有名校に入れたがるのは、その先の人生の安全がある程度保証されるからじゃないでしょうか」という。

母校であれば、自分がその学校の方針や環境を理解し、卒業生の人脈があるなどメリットがあり、ほかの学校へ行くよりお得な面が多いためだ。また有名校は、頑張って入学さえすれば、○○校出身ということで箔はくがつき、社会に出てからも有利である。

では、そうした女性の安全志向は、動物行動学的にどのような説明がつくのだろう。「一般的に、女性のほうが昔のことをよく覚えているといわれていますが、それは、狩猟採集の時代に、危険な植物や生き物、場所などを覚えておくことで身を守る術を身につけたからです。

脳の記憶力を高めるほどに安全にこだわってきた習性は今も健在で、子供の志望校を決めるときにも、無意識のうちに、安全の保証度が高い学校を選んでしまうといえます」

男性にも、もちろん安全志向はあるが、女性ほど高くはない。むしろチャンスがあれば、賭けに出るケースが多い。その理由も、動物行動学的な視点から説明がつくという。

「たとえば狩りに出かけたとき、危険を冒して大きな獲物を捕った場合と、安全を重視して小形の獲物を捕った場合、どちらが遺伝子を残す上で有利かというと、前者なんです」と小林先生。大きな獲物を捕った男性は男として女性から尊敬され、多くの遺伝子を残す可能性が高いと考えられるからだ。