韓流ファンの熱気で沸騰中の町、新大久保。駅や観光バスから降り立った女性客が向かう先は、韓流スターのグッズの店ばかりではない。韓国コスメショップも目的地だ。コスメ専門店は続々と増え、狭い地域にいまや20店以上がひしめいている。

りの粘液や蛇毒などの成分を配合した「生物コスメ」が飛ぶように売れている。

昨年の8月にオープンしたVIJIN COSME(ビジンコスメ)の店長・米原冴子氏は言う。「午前中は主婦、午後は高校生が中心で、売り上げは2桁アップを続けています。2800円の『蛇毒とかたつむりのクリーム』は1日平均30個、多いときには100個近く出ますね」。

蛇の毒やかたつむりの粘液といった肌に良いとされる成分に注目して開発された化粧品は「生物コスメ」と呼ばれる。

かたつむりクリームは実際に粘液が含まれているが、蛇毒については、シワの改善効果が期待できる蛇の毒と同じ化学元素を組み合わせた成分を配合しているだけ。いずれにしても化粧品のイメージには似つかわしくない毒々しいネーミングと大胆な配合を施した「生物コスメ」は、日本の化粧品にはない韓国コスメの大きな特徴だ。

「生物コスメ」と並ぶもう一つの人気商品が、フェイスマスク(美容液をしみ込ませた顔面用のシート状マスク)。広告に韓流スターのチャン・グンソクを起用している韓国の人気ブランド、ネイチャーリパブリックでも、コラーゲンを使った「アクアソリューションマスク」はすでに日本で150万枚以上を売り上げた。

「いま日本各地には、地方の特産品を使ったユニークな『ご当地コスメ』が増えているが、韓国コスメもその一端として支持されている」と見るのは、化粧品コンサルタントの新井幸江氏。

種類が豊富で、安いものでは1枚50円から手に入るフェイスマスクを土産用にとまとめ買いする客が大半なのは、「ご当地コスメ」ならではの現象か。