経済産業省の試算によると、日本のコンテンツ産業の海外売上高は約7000億円。2020年に2.3兆円まで拡大することを目指すという。

売り上げの中心を占めるのがゲーム産業だが、近年の状況は厳しい。00年代前半までは、日本企業がハード、ソフトともに世界市場を圧倒していた。しかし、ゲームユーザーが子供から大人へと拡大する00年代中盤以降、地域に根ざしたソフト開発を進める欧米メーカーがシェアを伸ばしている。

もう一つの柱であるアニメ、映像業界も伸び悩む。日本産アニメが世界で人気を集めているのは確かだが、近年は各国の放送規制やインターネットの普及で新規拡大が難しくなっている。

コンテンツの輸出は、経産省の思惑通りに拡大できるのか。

鍵を握る企業の一つが任天堂だ。Wiiの世界的ヒットで盛り返したものの、09年3月期を頂点に同社の決算は下降線へ。12年3月期の営業損益は334億円の赤字に転落したと推定するが、今期は471億円の黒字を予想する。

携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」は発売当初、販売が不振だったが、その後は値下げや大型ソフトの投入で、すでに国内で500万台以上、米国で450万台以上を売り上げている。ゲーム機としては、日本史上最速のペースだ。今期は欧米での普及がさらに加速すると見こまれる。また、年末には次世代ゲーム機WiiUの発売が予定されており、これも復活の牽引役となろう。

芸能プロダクション大手アミューズの海外進出への取り組みも注目に値する。3月にはアップルの音楽配信サービスiTunesを通じて、所属アーティストPerfumeの楽曲を北米、欧州など世界50カ国へ発売開始したばかりだ。

日本発のコンテンツが海外で売り上げを伸ばすための課題は2つ。ローカライズとディストリビューションである。地域に合わせたコンテンツに調整し、それを届ける仕組みを構築することが重要となる。現地の有力企業と提携するのも一つの方法だろう。

これらの課題をクリアし、躍進するのがサンリオだ。大手アパレルメーカーなどとライセンス契約し、「ハローキティ」を中心としたキャラクターの世界展開を加速している。コンテンツ輸出の一つのお手本となろう。

(構成=プレジデント編集部)