自動車やスマホにもハッカーの魔手が届く時代

――近年、ハッカーの攻撃は具体的にどう変わってきているのか。
米マカフィー共同社長 マイケル・デシーザー Michael DeCesare●米ヴィラノーバ大学卒。IT業界で20年以上に及ぶセールスの経験を持つ。EMCで上級副社長を務めたのち、2007年にマカフィーに入社。ワールドワイド担当の上級副社長を務めた。11年8月より現職。趣味はスキー、ギター演奏、テニス。

デシーザー 5年前なら、ハッカーは大学生や子供が名だたる企業や政府に侵入していくという、ただ単なる面白さでやっていた。ところが最近のハッカーは資金提供を受けていて、さらに組織もきちんとしている。ハッキングをすることで利益を出している。そういう形態に変わってきているわけだ。ハッカーのレベルが上がっていくのに従って、それを受けるセキュリティ側もレベルを上げていかなければならない。

一番大きな問題は、持続的標的型攻撃(APT)という新しい脅威が出てきていることだ。たとえばある人が侵入しようとして、玄関から入ってきてバスルームの窓を壊し、また玄関から逃げていく。すると、バスルームの窓は壊れたままの状態なので、その後はいつでもバスルームの窓から侵入することが可能になる。

――IT環境のネットワーク化が進んでいるが、こうした動きに対する対応は。

デシーザー PCは全世界で約10億台だが、それにつながる周辺機器はもっと大きな市場だ。2013年までには500億台にまで増えるだろうと予測されている。当然これらの周辺機器も保護しなければならない。さらに最近では、新しい攻撃手法や対象が爆発的に増えてしまっている。昔はPCやサーバーだけを狙っていたハッカーが、最近ではスマホやタブレットを使って企業の中にも入り込むことができる。あるいは自分の家庭を考えてみても、冷蔵庫や自動車など、すでにさまざまなところでコンピュータが使われている。ハッカーはIPアドレスがつくものには、侵入することができる。