経営コンサルタント
國貞克則

(くにさだ・かつのり)
1961年、岡山県生まれ。83年東北大学工学部卒業後、神戸製鋼所に入社。96年MBAを取得。2001年、ボナ・ヴィータコーポレーションを設立し独立。

会計を理解するには必ずしも簿記から入る必要はなく、本質をざっくりつかめばいい。その意味で最も簡単なのは『会計のことが面白いほどわかる本 会計の基本の基本編』(1)。専門家の著書は初心者向けといいながら細部の解説に入り込みがちだが、本書は違う。会計の全体像をつかめるよう説明を大胆に簡略化している。

簡略化ということでは『財務マネジメントの基本と原則』(8)が秀逸だ。著者は「企業の財務マネジメントは車の運転と同じである」と素人にもわかりやすく説いている。車にとっての内部環境の指標がスピードメーターやガソリン残量、外部環境が信号や交通標識だとするならば、会計ではどうか。想像してみるのもおもしろい。『財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方』(10)は、財務諸表は図に落とし込んでアナログ化してあげると理解しやすいということに気づいて企画した。特に19ページの図に着目してほしい。お金を集めて投資し、利益を挙げて再投資するサイクルがたちどころにわかる。

決算書などに使われる財務会計に対して、管理会計は社内だけで通用するローカルルール。しかし実務上は管理会計のほうが大事である。この分野で定評ある超ロングセラーが『人事屋が書いた経理の本』(3)。これも会計の門外漢があくまでも素人目線で書いたので理解しやすいだろう。